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「今だからこそ」ダイレクトマーケティング基礎講座 #08

お客さまは、誰? 顧客マネジメントとNPSを正しく定義できていますか 【ペンシル 倉橋美佳】

エンゲージメントを図る重要な指標「NPS」とは?

 その目的は、顧客エンゲージメントを高めることです。エンゲージメントとは、顧客がどれくらい商品やブランドのファンになってくれているか、好きになってくれているかなど、顧客との信頼関係を表します。

 顧客マネジメントを最適化してエンゲージメントを高めることができれば、LTVを高めることができるという流れです。そのエンゲージメントを図る指標のひとつにNPS®があります。
 
絵・倉橋 美佳
 これは「ネット・プロモーター・スコア(Net Promoter Score)」の略称で、顧客エンゲージメントを計測できることが最大のメリットであるスコアリング方法です。

 ※NPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標です。

 NPS®を一言でいうと「推奨度」となり、「あなたは、商品・サービスを親しい知人にどのくらい薦めたいと思いますか?」という設問の回答から、推奨者の割合などをもとに算出します。

 NPS®のメリット・デメリットには、次の点が挙げられます。
 
<メリット>
  • 設問数が少なく収集しやすい
  • 事業収益との相関が見られる
  • 未来の拡散可能性の数値化

<デメリット>
  • 何が要因でおすすめしてくれているのかがわからない
  • 何を改善すればどれくらい向上するかわからない

 実際の調査結果では、NPS®が高いユーザーはLTVも高いというデータがあり、NPS®とLTVは相関があると言えます。現在の状況や競合他社との比較を行い、事業のポジションを図るには、よい指標です。

 一方で、デメリットである「推奨因子の不明瞭」が分かれば、今後、推奨度が高いユーザーを育成することが可能になるかもしれません。

 さらに今後は、NPS®だけではなく、例えば、愛着度など顧客エンゲージメントを多面的に捉えることが必要となってくると考えています。そのことで、推奨因子を明確化し、より緻密なコミュニケーション設計が可能となり、顧客満足を高めるサービス提供ができるようになってくるでしょう。

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 最後に、私たちが陥りやすいポイントとして、解析手法や評価指標に目がいくと、どうしても顧客をデータとして捉えがちになってしまうことが挙げられます。しかし、接しているのは、一人のお客さまです。

 すでにお客さまになっている方も、これからお客さまになる方にも真摯にサービス提供を行い、一つひとつの声に耳を傾け、サービス向上や顧客満足に向き合うことの重要性を決して忘れてはいけません。

 
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