P&Gで2008年までの7年間、グローバルマーケティングオフィサーとして、全世界のマーケティングを指揮し、同社の売上を2倍に成長させたジム・ステンゲル氏。5月27日、28日に東京都内で特別開催される「ジム・ステンゲル塾(詳細は、こちら)」に向けて、同氏の新刊書籍『会社は何度でも甦る ビジネス・エコシステムを循環させた大企業たち』の担当編集者であるCCCメディアハウスの小林薫氏に今なぜジム・ステンゲル氏の書籍を読むべきか、話を聞きました。
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ダイナミックに働きたい人に読んでほしい
——今年2月に発売されたジム・ステンゲル氏の書籍『会社は何度でも甦るビジネス・エコシステムを循環させた大企業たち』の読みどころから教えていただけますか。
ジム・ステンゲルさんは、P&Gに在籍されていた当時から、会社とは常に成長する生き物であって、そうした企業文化を築くための方法を考えてきた人です。P&Gという大きな会社にいた方ではありますが、ベンチャー精神をお持ちの方だと私は思っています。
日本にもトヨタ自動車や本田技研工業、日立製作所など世界に名だたるグローバル企業がありますが、少し元気がなくなっているようにも見えます。世界的に見ても、老舗企業がダイナミックな行動を起こしづらくなっています。
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また、ジム・ステンゲルさん自身も、2000年代半ば、P&Gを辞める直前にGoogleとP&Gの社員を派遣し合うというプロジェクトをされています。今でこそGAFAとして注目を集めていますが、当時P&Gのような“大人な会社”がフラットにベンチャー企業と交流し合っていたことに、先見の明を感じます。
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はい、そうです。2013年に『GROW』を発売しましたが、その1週間後には増刷(2刷)が決まり、3カ月後には3刷もしています。今回、新刊が発売されたことで、実は4刷も決まったんですよ。
『GROW』は、2012年に版権を取得しましたが、当時は東日本大震災が起きたばかりの頃。企業には「社会に何が還元できるのか」が問われていました。そうした中で、高次の理念を掲げて、企業と顧客がゴールを共有し、それが社会的意義につながって、結果として会社のブランドが高まり利益も生まれるという考え方が面白いと、当時の担当編集者が日本で出版できるように動いたのです。
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