ファンの要望をもとにした施策で、フォロワー数を大きく拡大
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続いて、NTTドコモでUXデザイナーを務める大渕璃久氏が登壇。dマガジンやdTV、dショッピングなど、NTTドコモのサービスを統括し、サービス間の送客を行う「dマーケットポータル」のファンマーケティングを担当している。
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dマーケットポータルのマーケティングでは、サービスの存在に気付いたばかりのライトユーザーから、3カ月以上連続で使用しているロイヤリティの高いユーザー「dマーケットマスター」までクラスタリングし、それぞれに施策を打っている。
特にファンマーケティングは、最もロイヤリティの高いユーザーに向けた施策だ。実施に向けての最初のステップとして、大渕氏は「ほかのファンとコミュニケーションを取りたい人がいるのか、さらにSNSなどで外に向かって発信してくれるファンがいるのかをTwitter上で調査した」と語る。
調査はアンケート形式で、回答者にはポイントを提供したため、インセンティブ目当ての回答が多いと予想したが、回答者のほとんどがロイヤリティの高い「dマーケットマスター」だった。そこで、その中から特に多くのサービスを長期間にわたって利用しているユーザーに向けて、ファンミーティングへの参加を呼び掛けた。
ファンミーティングの参加は、無料で交通費も出ない。大渕氏は「何のメリットもない集会に、本当に来てくれるのか不安でいっぱいだった」と話すが、実際には「参加する」と回答した全員が来場した。ファンミーティングはdマーケットの概要説明を行い、どうすれば各サービスの横断的な利用者が増えるかを議論。さらに、Twitterでどんな施策があれば、うれしいかなどファンの要望を聞いた。
その後、ファンの要望を参考に施策を展開したところ、2万人だったTwitterのフォロワー数が1年間で16万人に拡大。Twitterからdマーケットポータルへの流入も大きく伸びて、購入にもつながっている。
次のステップでは、freeeのようにファンが自主的にコミュニティの輪を広げられるような仕組みをつくることが目標だ。また、一般のユーザーだけでなく、ショップのスタッフに対しても、サービスをさらに好きになってもらう取り組みを行っていく。
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