消費者行動研究の価値とは何か
マーケティングにおいて、「消費者行動論」といわれる学問の守備範囲は広い。消費者の行動に関するものは何でも含まれるから、経済学に始まり、心理学や社会学、文化人類学、最近では脳科学などもその範疇だ。そんな中、研究の中心にあるのが、消費者の意思決定プロセスの解明である。意思決定プロセス、などと仰々しく言うと難しそうだが、要は消費者が商品を購入するまでにどのような情報に触れ、何を考え、候補の中からひとつに絞り込んで購入したのか、その流れを明らかにすることである。
古くは広告関連で利用されてきた「AIDMA」理論、最近では「カスタマージャーニー」理論も、広義の意味ではこの範疇に入る。学問的には、1960年代から連綿と研究されてきた、息の長い研究領域である。
意思決定プロセスの研究が、これだけ長い間研究されてきたのには理由がある。そのプロセスを解明することが、企業のブランド戦略や価格戦略、チャネル戦略やコミュニケーション戦略などの、いわゆるマーケティングの基礎である4P(プロダクト、プライス、プレイス、プロモーション)を策定していく上で大いに役立つからだ。
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この意思決定プロセスの研究が、今、SNSの登場で新たな展開を求められている。