「9分野に、気を配る必要がある」というカンヌの主張
既存の多くのライオン(部門)を、それぞれの事情も考慮しながら分類しているため、分類の軸が揃っておらず(例えば、分類の大部分は一種の機能分類なのに、⑥ヘルスはある産業に特化しているなど)、ちょっと苦しい感じはします。ですが、「部門が多くなり過ぎて、何が何やら分からない」という応募者や参加者の不満への、1つの回答にはなったのではないでしょうか。また、何百と開催されるセミナーもひとつひとつ、この9つのトラックに分類されています。
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「少なくても、この9つの分野には、気を配る必要がある」とカンヌライオンズは主張しているのです。 ①の“コミュニケーション”に分類されたデザインやフィルムやモバイルはもちろん重要だし、②の“クラフト”と呼ばれる制作・仕上げ・でき栄えの技術(撮影、演出、編集など)もなくてはならないし、⑨“リーチ”のコンテンツやメッセージをどのように生活者に届けるかも欠かせない、といった具合に。この分類は、パーフェクトではありませんが、"ナイストライ" ではあります。
初年度の今年、まだまだ浸透しているとは言い難いですが、多くの人の意見も取り入れつつ、来年以降も必要な変更があれば、勇気を持って取り組んでほしいものです。
そして、会場の雰囲気はと言うと、「8日間を5日間にスリム化したのはいいが、中味がぎゅうぎゅうに詰め込まれていて、参加者は休む間もなく、忙し過ぎる!」という悲鳴も聞こえてきます。
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第3回目と第4回目のレポートは、会期終了後、「今年のカンヌは全体としてどうだったのか?」「どんなところに特徴があったのか?」といった総括的なレポートをお送りする予定です。どうぞ、お楽しみに。
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