現場のメンバーを信頼する
石戸 現場の若いメンバーがより活躍できるように、何か具体的に取り組んでいることはありますか。
廣瀬 「The Youth Club(ユースクラブ)」という30歳未満の若いメンバーを集めたコミュニティをつくり、上の年代のメンバーがそこで若いメンバーの意見を聞けるようにしています。
たとえば、コスメを担当している30代中盤くらいの女性が「コスメを販売するためにはどのようなサービスが必要だと思うか」をユースクラブに投げかけると、「こういうサービスがあるといいのでは」という意見をもらえるイメージですね。
石戸 なるほど。いま話を聞いていて興味深かったのは、化粧品や食品、日用品のメーカーなどは、社歴を重ねるにつれて顧客の年齢層も上がっていくことが多いですが、ZOZOではずっと20代から30代前半と若いですよね。何か工夫しているのでしょうか。
廣瀬 それはZOZOがプラットフォームだからです。ブランドは、石戸さんが言うようにお客さまと一緒に年を重ねていくケースが多いです。でも最近、我々はオンラインでしか販売しないようなブランド様にも多く出店してもらっていて、そのようなブランド様は20代のユーザーに多く利用されています。我々は、ブランドポートフォリオを拡大することでユーザーの幅を広げているんです。
石戸 そういうことですね。ブランドのポートフォリオを考えるとき、20代を意識して取り組んでいることはあるのでしょうか。
廣瀬 現場の若いメンバーが、InstagramなどのSNSを含めてさまざまな情報を仕入れ、その中からメンバーのファッションセンスやZOZOTOWNの状況、ユーザーの購買動向を見ながら、出店してもらいたいブランドを探しています。やはり、ユーザーに近い属性のメンバーの意見は非常に重視しています。
石戸 そのときに、廣瀬さんをはじめとする決裁者側は、すんなりと受け入れられるのですか。
廣瀬 信頼という表現が正しいかはわかりませんが、彼らが良いというのであれば、それでやってみようという思いで受け入れていますね。客観的な情報をもって推薦してもらえれば、それはそれで判断できます。ただ、そうでなくても、その世代に合うかどうかは、現場の判断に任せていいのかなと思っています。
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石戸 なるほど、メンバーを信頼されていることが伝わりました。最後に、廣瀬さんからひと言メッセージをいただけますか。
廣瀬 ZOZOTOWNは、今1000万人以上のユーザーに利用してもらっていますが、まだまだより多くの人に利用してほしいと思っています。そのために、幅広いブランドや機能の追加、そしてお客さまとのコミュニケーションをどのように取っていくかも含めて、私がうまく力を発揮していければと思っています。
また、ファッション業界は大量廃棄の問題もあるので、生産支援を通したDX化によって、ファッションは環境に悪いというレッテルを変えていきたいと思っていますね。
石戸 貴重なお話をたくさんいただきました。本日は、ありがとうございました。
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