マーケターズ・ロード 元グーグル日本法人代表 村上憲郎 #02
元グーグルCEO エリック・シュミットが見初めた「ミスターAI」 元日本法人社長・村上憲郎
対ヤフー、グーグル日本法人での最初の仕事
グーグル日本法人は、実は私の入社前からすでに立ち上がっておりました。
愛子さん(編集部注:片岡愛子氏。グーグルのインターナショナル社員として第1号採用された)、佐藤さん(編集部注:佐藤康夫氏。現在はアタラ合同会社会長)はじめ、社員はたったの10人からスタートしていました。実質的な代表はオミド・コーデスタニでしたが、日本法人の代表は国内在住者でないと務められなかったので、弁護士が名前を貸している状況。私が参加したのは、2003年4月1日、六本木ヒルズがオープンした日のことです。
私の最初の仕事は、オープン当日、入居した六本木ヒルズにヤフージャパンの代表取締役社長だった故・井上雅博さんに挨拶に行くことでした。何しろ、当時のグーグル日本法人にとって、ヤフーは最大のパートナーだったわけですから。Yahoo! Japan ポータルサイトで求める情報が見つからない場合に、検索窓にキーワードを入力すると、Googleに飛んでくるという構造。Yahoo! Japan、BIGLOBE、Niftyに始まり、その後、数年にしてあらゆるポータルサイトの裏側にGoogleが存在するという仕組みが確立しました。
その後、検索の手法はクリック方式からキーワード検索方式へと移行していき、2~3年後にはGoogleのトラフィック量がYahoo! Japanを上回って、トップに躍り出ることになりました。
Googleを普及させていくために、社員の皆さまは飲みに行った先々で大きな声でこう言うようにとお願いしていました。「会社で、ヤフーを使っていると『遊んでいる』と思われる。Googleを使うと『仕事をしている』と思われる」「Googleを使っている人はIQが高い」――恐ろしく姑息な手段ですね(笑)。
とはいえ、そんな時代も経て、日本におけるグーグルのポジションが確立されていったわけです。