[Agendaスペシャル] スポーツ・スポンサーシップの幸福なカタチを探る #05

スポンサー企業は、スポーツの効果をどう見ているのか【日本コカ・コーラ×コーセー対談】

目的達成につながるスポンサーシップとは?

渡邉:「コカ・コーラ」の認知率は世界で98%あるため、スポーツをプラットフォームとして活用することで、どれだけエクスペリエンス(体験)を高められるのか、そしてキャンペーンやデジタルと連動できるのか、という点を重視しています。

 最近では、2018 FIFA ワールドカップキャンペーンの一環で、同大会出場32カ国の国旗と数字をイメージしたデザインの「コカ・コーラ」ナンバーボトルを発売。ラベルにデザインされた 0~9 の数字を使って日常にまつわるクイズに答えたり、2018 FIFA ワールドカップロシア大会期間中の試合結果を予想し、正解すれば賞品が当たる「ナンバーボトルチャンレジ」という取り組みを始めました。   

小林:コーセーのスポーツスポンサーシップは、日本市場全体でのブランディングとしての要素が強いですが、日焼け止め製品「スポーツビューティ」で協賛している「ホノルルマラソン」や女性ランナー向けイベント「ランガールナイト」では、ドラッグストアでの直接的な販売促進効果も狙っています。

 海外エージェンシーは、こうしたスポンサーシップの効果を当たり前のように数値化してくれますよね。一方で国内エージェンシーはお願いしないと出してくれないです。もちろん発注側にも問題があるのですが、エージェンシー側からもKPIを踏まえた提案をしてもらいたいと感じています。

渡邉:それはスポーツチームに対しても同様です。企業がスポンサーシップによって達成したい目的をお互いに握り合うことが大切です。チーム側からも「その課題を解決するためには、この選手とこんな活動をしてはどうですか」といった目的を踏まえた提案があると、自然と良いパートナーシップが生まれると思います。

小林:一方で、スポーツ競技と企業が一緒に成長するという方法もあると思います。現在のフィギュアスケートはビッグコンテンツですが、かつてはそこまでの影響力はありませんでした。当社は美を競い合うスポーツがメイクと親和性が高いという観点で、約10年前からスポンサーしています。

 その関係もあって、人気コンテンツとなった今は通常、選手にインタビューしてコンテンツ化するためにも高額な費用がかかりますが、当社はメイクルームの提供している関係もあり、そこでインタビューさせてもらえるのです。

渡邉:そういう関係は、理想的ですね。

小林:ただし、スポーツ団体にも、さらにマーケティング志向を持ってもらえると、もっと良い関係になれると感じています。特に我々からの提案に対して、柔軟な対応をしてもらいたいですね。

渡邉:はい。まずは、目的の理解ですよね。例えば、離職率が高く人材不足が課題の企業の場合、その解決のためにチームから引退した選手を出向させる、という提案でもいいと思います。
 

ターゲットの共感を得られるのがスポーツ

小林:スポーツは人の心を動かせる力を持っています。企業とスポーツ側が、頭を柔軟にして、その力を最大限に活用することが大事だと思います。その結果、スポーツ側のファン拡大にもつながるはずです。

渡邉:我々がスポーツのスポンサーになる理由は、そこに消費者がいるからです。比較対象に音楽が上がることもありますが、音楽は好みがもっと細分化されています。やはりターゲットのパッションポイント(人々の興味関心のあるポイント)が、スポーツにあることが多いんです。

 東京2020オリンピックは日本全体のオリンピックだと思っています。東京2020オリンピックを世界中や47都道府県で盛り上がるようなプロモーションを企画中ですので、ぜひご期待ください。
 

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