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[Agendaスペシャル] スポーツ・スポンサーシップの幸福なカタチを探る #01

巨大化する欧米スポーツビジネスから、スポンサーシップのヒントを探る

 東京オリンピックに向けて、盛り上がりを見せるスポーツ産業。その活性化に向けて、政府も動き出し、2025年までに市場規模を5.5兆円から15.2兆円へと拡大させる方針を打ち出している。
 元来、企業はスポーツにさまざまな形でスポンサードし、その産業拡大に貢献してきた。しかし、経営者の個人的な思いや地元支援といったCSR的な観点も強く、スポーツを自社のビジネスにどう貢献させていくのか、具体的なビジョンを描けていないケースも多い。
 そこで「Agendaスペシャル」では、企業のマーケティング課題をスポーツがどのように解決できる可能性があるのか、そのパートナーシップのあり方を考える。第1弾では「識者の視点①」として、スポーツビジネスに詳しいスポーツマーケティングラボラトリー 執行役員 石井宏司氏に欧米のスポーツ産業が巨大化した背景と、日本が持っている可能性について寄稿してもらった。

2020年以後にスポーツへの投資が萎む危険性

 2018年現在、アベノミクス効果により、いくつかの経済指標は回復傾向にある。また、東京五輪への協賛企業は49社にのぼり(2018年4月13日現在)、スポーツ市場への投資は一見順調かのように見える。

 しかし長期的な視点から行くと、1991年のバブル崩壊以降、日本経済は低成長あるいは後退傾向にある。そこで、企業とスポーツの従来の典型的な関係性である「企業スポーツ(企業がスポーツチームを企業負担で所有する)」と、いわゆる「協賛」といったことが、難しくなってきている。

 実際、企業チームは時代と共に減少傾向にあり、昨今では廃部になるケースも出てきている。また、大手企業がプロスポーツチームを所有し続けることが難しくなり、オーナー権を成長企業に譲渡する事例も増えてきている。

 この傾向が続く中で東京五輪が終わった後、仮に景気が後退すると、どのようなことが起こるであろうか。おそらく市場のスポーツ産業への成長の期待や、企業のスポーツへの投資が一気に萎んでしまうであろう。

 それは一般企業側にとっても、スポーツ産業にとっても、これから切り拓くことができる可能性がある大きな市場をみすみす逃してしまうことになりかねない。

 そのような未来にならないために、企業側とスポーツ側は、今からどういった新しい取り組みをしておくべきなのだろうか。

 

欧米はどのような選択をしてきたのか

 こういった話になると、「なぜ欧米はスポーツをビッグ・ビジネスにできたのか」「なぜ日本は欧米のようにできないのか」という疑問がよく呈される。

 そして「アメリカには優秀なスポーツビジネスリーダーがたくさんいるからだ」「コカ・コーラやナイキのようなビッグスポンサーがいるからだ」といった理由で説明されることがある。

 もちろん、それ自体は間違いではないが、国が違えば市場の構造、そして市場を支える社会の構造の違いがあるのは当然だ。そういった構造の違いを理解せずして、表面だけを真似たり、輸入したりしたとしても、決してうまくはいかないだろう。あるいはうまくいっても長続きはせず、一過性のブームに終わってしまう。


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 そこで、あえて「欧米がスポーツを活用せざるを得なかった理由(わけ)があった」という観点に立ち、そこにある「構図」を読み取っていきたい。その上で、これからの日本の社会構造を踏まえたスポーツと企業の新たなスポンサーシップのあり方を考えていきたい。

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