マーケターズ・ロード 足立光 #02

「常に、自分より1つか2つ上の役職の仕事をすべき」日本マクドナルドCMO足立光氏

前回の記事:
日本マクドナルドCMO足立光氏が、P&Gで身につけた「強さ」とは

P&Gから戦略コンサルティング会社へ

 日本と韓国、合わせて8年間のP&G時代を終え、次は経営戦略コンサルティング会社に至ります。ブーズ・アレン・ハミルトン(日本法人・現PwC Strategy&)に約7年間、そしてローランド・ベルガーに約2年間在籍しました。

 ローランド・ベルガーには、日本法人の「再」立ち上げに際して、当時ブーズ・アレン・ハミルトンの上司だった西浦(裕二)さん、遠藤 (功)さんらとともに移籍したのです。

 P&Gだけでなく、さまざまな業種・業態の企業のマーケティングに携わりたい。また、マーケティング以外のファンクション(機能)ついても学びたい。P&G時代から、ジェネラルマネージャーを目指したいと思うようになっていたので、そうした経験を積める場としてコンサルティング会社を選びました。

 中でもブーズ・アレン・ハミルトンを選んだ理由は、P&Gのときと同じ。世界的には有名である一方、日本では無名だったことです。MBA取得も選択肢のひとつでしたが、そのお金もなかったし、勉強に費やす2年間よりコンサルティング実務に携わる2年間のほうが、濃い経験が得られるだろうと考えたのです。
版権: piotrkt / 123RF 写真素材

 入社後は、消費財メーカーをはじめとするさまざまな企業の営業戦略、マーケティング戦略、海外戦略などを担当しました。売上・利益向上だけでなく、「部品メーカーのコスト削減」のような仕事もあり、幅広い経験ができました。当時コンサルティングを担当した企業のメンバーとは、いまだにお付き合いが続いているところもあります。

 

コンサルティング会社で得られたものは「気合い」

 コンサルティング会社での経験を通じて得られたものは、一言で言うと「気合い」です(笑)。「P&G」と「マーケティング」のことしか知らない30歳そこそこの若者でも、入社するなり、「サプライチェーン変革のプロジェクトが決まったから、勉強しておいて。2週間後に◯◯社の財務部長とアポだから」とサラリと言われてしまう。とにかく必死に勉強するしかありません。

 その上、ひとつの戦略提案で何千万円という対価をいただく仕事であり、しかもその提案はごく短期間で完成させなければなりません。スピードやクオリティに対するコミットメントが極めて高く、「修羅場」だらけでした(笑)。

 移動時間がもったいないので、オフィスから30分以上離れた場所には住まない。18時頃に一度帰宅して、まだ小さかった子どもをお風呂に入れ、食事をして、21時頃に仕事に戻るという生活を送っていました。

 とある大型プロジェクトを進めていた矢先、担当マネージャーやパートナーが相次いで退職してしまい、アシスタントだった私が急遽代わりにすべてを担わなければならなくなったことも。そういう修羅場は、そう珍しくありませんでした。

 しかし、どんな修羅場も無我夢中でやれば、意外と何とかなってしまうもの。そんな日々が、やはり楽しかったですね。

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