マーケターズ・ロード 足立光 #02
「常に、自分より1つか2つ上の役職の仕事をすべき」日本マクドナルドCMO足立光氏
キャリアのタイムラインに大きな違いがある
若い人にいつも言っているのは、「常に、自分より1つか2つ上の役職がやるような仕事をできるようにしておきなさい」ということです。そして、自分がそれができるということを、明確に周囲に示し続けたほうがいい。目の前にある手元の仕事に懸命に取り組んでいるだけでは、道は開けないのです。また、日本の同僚ではなく、中国やインドなどアジア諸国の同僚と競争する意識を持つことも重要だと思います。
グローバル企業で働いていると、彼らの優秀さとアグレッシブさ、自らをプレゼンテーションする意識と能力の高さを痛感します。日本企業でも、昨今は人材の多様化が急速に進んでいます。そこにいる海外人材は、日本語も英語も中国語も堪能で、比較的安価な給与で非常に高いパフォーマンスを発揮している人ばかりです。
日本の多くの若者と、欧米やアジアの若者とでは、キャリアを考える「タイムライン」に大きな違いがあると感じます。
海外の優秀な人たちは、誰もが「30代で成功しよう」と考えているのです。フランスのエマニュエル・マクロン首相は2017年の就任当時39歳、フィンランドのマリ・キビニエミ首相は2010年の就任当時41歳、ブレア首相が労働党党首に選出されたのは39歳。私がローランド・ベルガーの後に転職したヘンケルグループのグローバルCEOは42歳でした。これは欧米の例ですが、アジアでも30代で大きな企業や政府の要職についている例は、多くあります。
30代後半から40代頭で、トップにのぼり詰めようというスピード感でキャリアを築いているのです。外へ目を向けて、このスピード感で世界中のライバルと闘う意識を持たなければ、日本人がこの先勝ち残っていくのは難しいのではないかと危機感を持っています。
その点、私が恵まれていたのは、ジェネラルマネージャーとして本国からP&Gジャパンにやって来る人は30代ばかりで、彼らを常に間近に見ることができたことです。ジェネラルマネージャーとは何か。30代でジェネラルマネージャーになるにはどうすればいいか。
そうした意識を、早い段階で、かつ「当たり前」のように持つことができたのは、若いうちにP&Gに在籍していてよかったことのひとつだと思います。
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