知ってるだけで差がつく、アドテクノロジー「新常識」 #01
どの広告のCTRが高い? AIの正答率が人を超えてしまった
なぜAIが人の正答率を超えられたのか
AIがつくったバナーと、人間のクリエイターがつくったバナー。どちらが高い成果を出すと思いますか。最終的な答えは、まだ出ていません。しかし、広告の世界では、AIが人の経験則を凌駕するパフォーマンスを発揮し始めています。
先日、東京大学の研究室とバナー広告クリエイティブの効果を予測する特化型AIを共同開発し、実証テストを行いました。そのテストは、2万通りのバナー広告の内、9割のバナー広告を特化型AIに学習させて、残りの1割のバナーの効果を「人」と「AI」が予測するという内容です。
予測方法はシンプルなもので、バナー広告のクリエイティブを見せて、全体の平均CTR(Click Through Rate)を上回るか、下回るかを分別してもらうのです。
結果は、人の正答率は5割程度で、実務に携わる熟練者(人)でも用意されたバナー広告のCTRの結果を予め見極めることの難しさが分かりました。一方で、AIの正答率は7割を超えました。経験ある人の予測を上回ってみせたのです。
どうしてAIは、人を上回ることができたのでしょうか。
AI開発チームともこの要因について話しました。ひとつの見解としては、開発したAIには、膨大な結果データを取り込み学習させます。そのデータ量は、人ひとりでは到底経験できない、または覚えきれないほど膨大なパターンデータです。
そしてそれは、人それぞれが経験で得ることができる全ての結果をひとつの知能に取り込むことになり、人間の集合知のようになったAIの予測精度は、人を上回ったのだと思います。