Adobe Summit 2019 #02

日本企業に再度、確認してもらいたい「基本の徹底」Adobe Summitに見るこれからのマーケティング【後編】

Fitness24に学ぶ、体験設計における発想の転換


 次に、フィットネス業界でのオムニチャネル戦略事例としてFitness24の事例を紹介したい。健康産業は今日本も同様にサプリから、Vegan、オーガニックフードから、IoT型高級健康器具やマラソン、トライアスロンまで競争は激化している。

 そのような中でカリフォルニア州を中心にフィットネスクラブを経営するFitness 24はアプリを中心にお客さまと繋がり、In-Store Digital=フィットネスクラブ内のデジタル化を進めることで、顧客体験の充実化を図っている。クラブ内WiFiの導入から、Store Kioskによる顧客管理、アプリを活用した1週間のパーソナルトレーニング設計、Live Streamingによって自宅でもその時間に参加できないユーザーの好きな時にトレーニングができるようなサービス提供を行っている。

 彼らのコメントで印象に残ったのが、やはり体験設計における発想の転換だ。それを端的に表す言葉として、From Functional to Emotionalという表現とMass Personalizationという言葉を使っていた。Functionalとはまさに機能的な価値であり、彼らの主要ミッションとしての24時間営業というメインタスクを指し、重要ではあるがアナログな価値提供だけでなく、これからはデジタルを活用しながら、いかに顧客と情緒的繋がりを構築するかに腐心しているという。

 健康にまつわるビジネスが多様に存在する中、「Holistic view of customer Journey=カスタマージャーニー」の包括的な視点を持ち、デジタルを活用したパーソナライズ化の推進を検討しているのだ。お客さまの健康にまつわるニーズを全て1社で提供し、お客さまを囲い込むことはできない。しかし、お客さまとの繋がりを強化し、自社で提供できる価値を「Mass Personalization=個客」が複数にあるサービスを組み合わせることでパーソナルを実現し、少しでも個客体験価値を増していこうとする取り組みは可能なのだ。

 最後に、彼らがセッションで提示していたオムニチャネル化までのロードマップを筆者が作成したので参照願いたい(下記図参照)。
 
Community Pavilion出展企業からの学び- D2C企業のWeb広告戦略とアドビ& Microsoft連携の背景
 先述の通りであるが、彼らのデジタルトランスフォーメーションも長期に渡るものだ。筆者も前職での仕事を振り返ってみると、計画というようなものは立ててはいなかったが、結果的に図のようなロードマップを歩んできた。まずは戦略とビジョン、そしてデータ整備、パートナー選定、基盤構築、コンテンツの充実化(アナログ&デジタル両コンテンツの充実化)、お客さま理解、オムニチャネル戦略の統合、最後にチーム統合という流れだ。

 このような図こそ、経営陣に見てもらいたいし、Adobe Summitでこのような資料を提供いただけるセッションがあることに最大のメリットがあると言えるであろう。

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