Adobe Summit 2019 #02

日本企業に再度、確認してもらいたい「基本の徹底」Adobe Summitに見るこれからのマーケティング【後編】

D2C企業はいかに個客とつながるのか?


 Community Pavilionにも多数の企業が出展し、会場内で華々しく事例紹介を行い、デジタル体験の提供を行っている。ここも見どころ満載だ。特に、アドビ製品とは直接関係ないが面白い事例紹介をしている企業や、マーケティングの現場で粛々とアドビ製品と自社商品を組み合わせて実績を積み上げきた事例紹介話も一見の価値がある。最後に、お宝物のセッション紹介としてD2C企業の実態とMicrosoft社とアドビ社の連携の背景を物語る事例を紹介してこのレポートを終えたいと思う。



 皆さんも米国や世界で注目している企業やサービスといえばD2C企業ではないだろうか?

 UberやHulu、Airbnb、拙著でも紹介したBonobosのような企業はお客さまと直接つながり、既存のビジネスモデルに挑戦している。筆者はD2C企業の台頭と銘打ったセッションを聴講した。スピーカーは、Pathmaticsという米国の広告会社だ。このセッションが大変勉強になった。

 まず最初に驚いたのがD2C企業のカオスマップの存在だ。数えきれないほどの企業がD2Cマーケットに参入している。皆さんもぜひ検索して見てもらいたい。同社はD2C企業の特徴として、「1.category disruptor=既存市場の破壊者であること」「2.Mobile & Native Appに強く、ここに優れた場を構築していること」「3.marketing = growth」と、セールスや物流ではなくマーケティングを成長エンジンに据えていることあげている。このような定義はなかなかお目にかかれないし、腹落ちする定義だ。

 また、彼らはD2C企業のSNS広告の分析レポート有しており、各社の広告分配について解説を行った。基本D2C企業はソーシャルはもちろん, デスクトップディスプレイ、デスクトップビデオ、モバイルディスプレイ、モバイルビデオを中心に広告出稿を行っているという。前回も言及した通り、動画によるコミュニケーションの重要性が増しているようだ。そして、出稿先としてSNSを重視し、独自のクリエィティブ制作によってブランドストーリーと、消費者との長期的関係づくりを目指したコンテンツ配信に挑戦している。

 D2Cブランドにおいては、サービス内容の理解、企業ビジョンへの共感、個客体験の具体的解説が欠かせない。そういう意味でもソーシャルメディアという場を活用したコミュニケーションが重要なのだろう。セッションで書き取った、主要企業の広告出稿手法について以下の表にまとめているので参照願いたい。



 日本においてもこれから多くの企業が独自D2Cブランド構築に動き出すであろう。その際にどのような広告戦略を有すべきか?一歩先を行くUSの事例はこのセッションに参加していなければ聞けない貴重な情報だ。また、Videoを中心としたストーリー展開の重要性、商品・サービス価値の理解促進に挑戦する日本企業が増えることの予兆にもなるように思う。

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