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顧客基点の「ソーシャルメディア戦略」 #01

ソーシャルメディアは担当者の個性を披露する場ではない、大事なのは握手をするような距離感【風間公太】

ソーシャルメディアは、顧客時間をドライブさせる


 改めて、企業がソーシャルメディアを運用することの重要性を顧客時間のフレームで考えてみよう。

 筆者が所属する顧客時間では、「購入」だけでなく、購入前の「選択」、購入後の「使用」までを包括的に捉えることが重要だと提唱している。ソーシャルメディアは顧客と企業の関係の中で、「選択」「購入」「使用」の各プロセスにはもちろん、そのすき間さえも埋め、対話を生み、顧客時間をさらにドライブさせる接点である。
 
出典:奥谷孝司・岩井琢磨「世界最先端のマーケティング ~顧客とつながる企業のチャネルシフト戦略~」日経BP、2018
 オンラインであるソーシャルメディアで情報を取得し、そのままECサイトで商品を購入する。または、チャネルを横断してオフラインの店舗に足を運ぶことも、言うまでもなく顧客にとっては自然な購買行動となっている。

 ソーシャルメディアが情報収集インフラの一つになりつつある現在、自社商品やサービスとの接点が無い顧客時間にまで企業はソーシャルメディアを使って寄り添い、対話ができるようになった。「ソーシャルメディアで情報発信を継続する」=「顧客のタイムラインで対話する」ことで、顧客接点の頻度が上がり、その積み上げが自社を想起させるきっかけになる。つまり、顧客時間を捉え、その関係性をより豊かな体験として深めることになるのだ。

 しかしながら、ソーシャルメディア運用が売上や送客などの事業に影響をもたらすのかと疑問視する向きもまだまだ多い。顧客の能動的な行動を期待するだけでなく、ソーシャルメディアを使って積極的に情報発信を行なうことが、顧客の感情を揺り動かし、行動を変え、結果的に自社の事業貢献につながる可能性が十分あることを、次回以降も考察していきたい。
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