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データ・ドリブン・マーケティングの実践に向けて #03

生活者の関与が高まる「瞬間(モーメント)」の効果的な抽出方法【電通 西田悟史】

顧客が来店前に意思決定している瞬間を捉える


【ZMOTとは】
 ZMOTとはZero Moment of Truthの略で2011年にGoogleが提唱した概念です(注2)。生活者が店に足を運ぶ前の時点で、既に意思決定を終えているという考えに基づき、来店前の下調べにおける意思決定の決定的瞬間のことを指します。

【トリガーモーメントとは】
 消費財、耐久財、サービス財など、商品によって購買までの意思決定プロセスは異なります。全ての商品において来店前に意思決定を終えているとは限りませんので、常にZMOTの考え方が当てはまるわけではありません。

 そこで、商品が持つ様々なモーメントの中で購買などのコンバージョンへの引き金(トリガー)となる最も重要なモーメントのことを「トリガーモーメント」と定義します。Large PDCAにおいて、生活者が購買などのコンバージョンに至るまでのジャーニーを設計する際に、トリガーモーメントの抽出は必要不可欠となります。

【トリガーモーメントの抽出方法】
 トリガーモーメントを抽出するためには、IDベース(Peopleベース)で紐付けられたWEB行動データや位置情報データなどを用います。どのような行動を取った人が購買などのコンバージョンに至る確率が高くなるのかを分析することによって、購買などのコンバージョンに対して最も影響がある行動などを抽出することができます。
 例えば、カードローンにおいては、具体的にカードローンに関する検索などを行う前の「スーツなどの高額商品の購入検討時」がトリガーモーメントとして挙げられます。
 また、オーラルケア商品におけるトリガーモーメントの例として「歯科への通院後」が挙げられます。様々なモーメントで興味喚起などをしながら、「歯科への通院後」に購入喚起を行うことで、より効率的に購買へつなげることが出来ると考えられます。

【まとめ】
① Small PDCAでは検索データや書込データを用いて商品の関与が高まる「モーメント」を抽出する
② Large PDCAでは、IDベース(Peopleベース)で紐付いたWEB行動データや位置情報データなどを用いて購買などのコンバージョンに対して最も重要な「トリガーモーメント」を抽出する
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