マーケティングの現場から考える「5年後の実際」 #04

テクノロジー先行か、課題先行か。優秀な店舗スタッフの「AI化」が頓挫した理由から見えたこと

テクノロジーが先か、課題が先か


 優秀なアドバイザーを真似るのではなく、全く別のアプローチから考える必要がある。課題解決の切り口を変える必要がある。

 テクノロジー先行か、課題先行か、どちらが正解だろうか?

 私は課題先行を強く意識している。目的や課題を設定し、顧客視点でどのような価値提供をすべきかを考えることからスタートすることを心掛けている。そうすることで、誰も求めていない最新テクノロジー導入という失敗を回避し、真の意味でテクノロジーを使いこなせるようになると信じてきたからだ。

 しかし、今回のケースのように課題は見えたとしても、そもそもそ解決ソリューションが無いという、上流にかける時間だけロスして「HOW」の段階で右往左往するリスクもある。



 2018年10月にガートナージャパンが発表した「日本におけるテクノロジのハイプ・サイクル:2018年」によると、AIが「過度な期待期」から「幻滅期」に突入したという。その発表内容と今回の失敗の時期がピタリと符合し、自分自身に嘲笑した。

 そういうこともあって、最近ではテクノロジーの理解が先にあり、それが自社文脈でどんな課題を解決し得るか考えることも多くなった。機械になったつもりで、機械にとってやり易い方法を模索する意識も高まった。そうすることでスピードの速い今の時代にうまく適合する可能性が高まるかもしれない。

 テクノロジー先行か、課題先行か、という問いは実はどっちでもいい。問題なのは、テクノロジーの深い理解がないままに、テクニカルな課題解決のコンセプトだけが先行してしまうこと。テクノロジー先行とは似て非なるもので、これが最も危うい。

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