新・企業研究 #03
クリエイティブやコンサルの先へ。レイ・イナモトが描く、これからのクリエイティビティ
レイ・イナモトが考える、日本のマーケティング部門における課題
——レイさんから見て、日本企業のマーケティング部門の課題はどのようなものがありますか?
イナモト デジタルトランスフォーメーションがバズワードになりましたが、まだマスコミュニケーションの置き換えとして、デジタルというワードを使っているケースがほとんどだと思うんです。
極端な言い方かもしれませんが、インスタに投稿したから、バナー広告をしたからデジタルになったと考えている人がいますが、それは“ただのコピペ”であってデジタルファーストな考え方ではありません。
僕は最近、マスコミュニケーションから人と人が繋がる1対1のマイクロコネクションへと変わっていくと思っているんです。例えば、アプリで乗客と運転手をつなげたのがUberですよね。昔は他に手段がなかったため、イライラしながらもタクシーの到着を待っていました。今の時代は、消費者がどのような問題や悩みを持ち、それをどのように企業が解決するのかという発想が大事になっています。
——これまでレイさんが手掛けた案件の中で、プロダクトを踏まえた上でサービスとして成功したのは、どのようなものでしたか。
イナモト かなり古い話になりますが、R/GAにいたときに関わった「Nike +」は、ひとつのきっかけになりました。ジョギングをする人たちの時間と距離を計測できるデジタルサービスです。
そして、それを発展させたのがAKQAのときにつくった「NIKE FUELBAND」です。これらのコンセプトは、コミュニケーションだけのアイデアからは生まれないですよね。
※後編「ビッグアイデアからクレバーな仕掛けが評価される時代。レイ・イナモトが語る、日本の強みと弱み」に続く
- 他の連載記事:
- 新・企業研究 の記事一覧