デジマ女子部 スキルアップしたい女子デジタルマーケター大集合! #03

freeeとNTTドコモ担当者が語る、ファンマーケティング成功のポイント【西井敏恭氏顧問 デジマ女子部】

ユーザー主導のコミュニティのつくり方

 コミュニティマーケティングが成功するポイントは、ユーザー主導にすることだ。「freee"マジカチ"meetup!」の開催地では、それぞれ3人のリーダーがコミュニティを主導している。
 
 コミュニティの立ち上げにあたり、freeeは最初にリーダーの選定を行った。その方法について川崎氏は、「リーダーの要件としたのは、freeeのことが好きで広めたいと思ってくれていること。その上でホスピタリティがあって、尖っていない人でした」と述べた。

 川崎氏は、この条件を顧客とコミュニケーションをとるカスタマーサクセスチームに伝えて数人を紹介してもらい、全員に会いに行った。「面談の際には、ユーザー主導のコミュニティであることをはっきり伝えることも重要でした」という。

 第1回の「freee "マジカチ"meetup!」は、リーダーを中心に10人ほどで開催。その後、参加者はリーダーの知り合いなどから徐々に集めていき、コミュニティのランディングページを開設するまで、一人ひとりに会って慎重にメンバーを拡大していった
 
第一回 freee "マジカチ"meetup!

 コミュニティマーケティングを行う上でありがちな悩みは、ユーザー主導がうまくいかず、結局、企業主導になってしまうことだ。freeeでは、ユーザーにコミュニティを自分ごと化してもらうため、あえて費用の負担は行っていない。会場費やケータリング費もユーザーの参加費からまかない、会場までの旅費交通費も負担していない。「新機能のレビューをお願いするときも、絶対にお金を絡ませてはいけません。ファンとの関係にお金が入った瞬間、コミュニティは崩れてしまうんです」と指摘した。

 コミュニティマーケティングは、短期的な売上につながるものではない。ユーザーがコミュニティに友人を連れてきても、そこでセールストークをされたのでは逆効果になってしまう。そこでKPIは、売上ではなく、コミュニティへの参加人数や新規参加者の割合、SNSでの発信数などを設定した。 

 売上に直結したKPIを設定しないと、社内の理解が得られにくい場合も多いが、川崎氏は、「投資判断を行う事業本部長や社長、同じ事業部の同僚にコミュニティを運営する意義を伝え続けた」という。

 最近は、コミュニティに入っている人とそうではない人で、売上に約10倍の差があるという効果が見えてきたことから、社内でコミュニティマーケティングの必要性が認められてきた。

 川崎氏の話を受け、西井氏は「昔は価格と機能を他社と比較して自社のプロダクトを売り込んでいましたが、今はどこも似ていて、機能比較以外の要素で決まることが多い。では、何が決め手になるかといえば、周囲の企業が使っているか、誰が勧めているのかということ。私もどこの広告会社がいいのか、どのツールを使うといいのかとよく聞かれます。これは、誰かが紹介すれば、コンペをして、他社より有利な機能だったり価格を提示したとしても、それとは関係なく導入が決まってしまうという状況。まさに、コミュニティマーケティングの本質は、こうした状況で勝てる要素を生み出すことなのだと思います」と語った。

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