マーケティングの現場から考える「5年後の実際」 #05

【提言】 次世代マーケターに求められる5つのスキル

① フレームワークの脱構築スキル

 フレームワークは散在した問題を整理し、進むべき方向性を決める手助けをしてくれる。鉄板のフレームワークがまだまだ活躍している分野がある一方で、変化の先頭ではその限りではない。時には先人が生み出したフレームワークと真っ向から対立したり、徹底的に疑問を突き付けて解体したりするスキルが求められる。

 ことデジタルマーケティングの分野では顕著である。本連載を通底するテーマにおいても、One to Oneマーケティングを実現するためには、これまで推奨されてきたフレームワークからむしろ脱却すべきと主張している。

 私はこれまでOne to Oneマーケティングを実現するためのチャネルが何であれ、カスタマージャーニーを描いて「誰に/いつ/何を/どのように」を整理してプッシュ配信するプロセスを絶対視してきた。

 しかし、そこにはユーザー行動の「パターン化」という矛盾する作業が内在していた。実際は全員が一方向に進むのではなく、行ったり来たり、一足飛びに進んだり、横道に逸れたりするはずなのに、だ。

 カスタマージャーニーの解体を試みた結果、「パターン化」して「汲み取る」コミュニケーションであることが分かった。そして真のOne to Oneマーケティングとは、「パターン化」ができないから「聞き取る」コミュニケーションであることに気が付いた。



 これはOne to Oneマーケティングだけに限った話ではない。例えば、マーケティングの基本的なモデルにあるPDCAサイクルという考え方も、OODA(Observe・観察、Orient ・状況判断)、Decide・決定、Act・行動)ループに置き換わってきている、と私は考えている。

 変化の先頭に立つ時は、まず伝統的フレームワークのコレクションの題目ごとにマス目を埋めていく作業に盲目的に時間を費やす前に(いかにもマーケティング担当者っぽいが)、そのフレームワークの脱構築の可能性に常に目を光らせておく意識が必要になる。

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