顧客基点の「ソーシャルメディア戦略」 #05

企業に必要なのは、河野大臣なみの「エゴサーチ力」

実践、アクティブサポート


 ここまで読み進み、アクティブサポートに対して興味を持っていただいたみなさんに、筆者の経験から取り組みやすい実践例をご紹介しよう。
 
無印良品 公式ツイッターより

 リアル店舗をもつ小売業や飲食業ならば、自社の社名やブランド名でエゴサーチを実施した際、店舗の場所がわからないで迷っている顧客と出会うことは少なくないはずだ。すでに解決済みかもしれないので、いつツイートされたのかは気にする必要があるが、こういった対話ならば、顧客側にとっても公式アカウントから突然呼びかけられることによる心の抵抗壁が低いはずだ。

 しかしながら、筆者のようにアカウント運用を一人且つ兼務で行なっていたような体制では、きめの細やかなアクティブサポートは物理的にも困難であり、当時は社内のコールセンターを巻き込んだ組織構築も試みたが、その理想を実現することはできなかった。

 志半ばとなってしまった理由は、貴重な人員を割いてまでアクティブサポートを実施する効果を明確に説明しきれなかった筆者の未熟さにもある。もし、これからアクティブサポートに取り組もうと考えている方には、コールセンターの入電数減少といった表層的な効果ではなく、定性面(これもエゴサーチで顧客の声を収集すればよい)も含めた顧客満足度の向上、もちろんそれをNPSなどの定量面で評価することを提言したい。

 また、まれにアクティブサポートを単なる新商品やサービスの宣伝手段…サポートではなくアクティブ“セールス”をしているアカウントに出会うが、「顧客のためにいち早く自社情報を届けることが使命」などと思っているなら、それは企業のエゴにすぎない。“アクティブサポートブロッカー”のような切なすぎるツールが開発される前に、栗やカボチャを素材とした美味しい秋のスイーツでも食べて一息つき、顧客基点の企業活動とは何かを再考してほしい。

 もうひとつ、公式アカウントからの声がけがアクティブすぎてしまうと、顧客が企業から「見られている」「追いかけ回されている」との印象を与えかねないので、警戒心が高まらないように、そのアクティブ加減は慎重に検討する必要がある。

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