新・企業研究 #05

JWTとWunderman 日本法人が合併、北島CEOと新沢CCOが語る「日本で勝てる要素」

コンサルやデジタル系企業に勝てるポイント


——社内の部署など、組織的な変化も出てきているのでしょうか。

新沢 旧JWTになかったチームとして、旧Wundermanはデータを扱うチームを持っていました。クリエイティブとしては、ストラテジーに加えて、データチームからもインプットをもらえることが非常に楽しみです。

これからはストラテジーチームが見つけたインサイトにデータが付与されることで、より深く世の中を理解して、新しいクリエイティブをつくっていけると思います。
WT Tokyo チーフクリエイティブオフィサー  新沢崇幸 氏 博報堂、TBWA/HAKUHODO、およびロサンゼルスのTBWA/Chiat/Dayを経て、2019年、J. Walter ThompsonのCCOに就任。合併を機にWT Tokyo CCOに就任。2014年、日本広告業協会が選ぶ「クリエーター・オブ・ザ・イヤー」に選出される。2018年、カンヌライオンズFilm部門審査員。

——すでに動き始めていると思いますが、現状では、どのように感じていますか。

新沢 従来の考え方は、アイデアドリブンでテレビCMはもちろんWebサイトやアプリも、ユーザーにとっての「面白さ」を基準に考えていたように思います。それがデータドリブンに移行し、単に面白い表現だけではなく、例えば、毎日接するものだから「気持ちの良い体験」が重要になるなど、考え方が変化してします。

お客さまの行動やデータに基づいて、クリエイティブのかたちが変化していくことに面白さを感じています。そして、それがクライアントのビジネスへのコミットになるはずです。

——エージェンシー同士の争いだけではなく、コンサルティングやデジタルテクノロジー企業も競合になっていると思います。そうした企業に勝っていくために必要なことは何ですか。

北島 当然、クライアントビジネスですので、クライアントの商品をいかにコミュニケーションして、ビジネスをグロースさせていくかが大事になります。その上で大事になるのは、消費者である「人」を起点に考えていくこと。その人に対して、どうすれば効果的なコミュニケーションが実現できるのか、我々が知っていることが強みだと思います。

そして、その実現のために我々も組織が縦割りになってはダメ。どうすれば人の興味喚起を起こすことができるのか、その軸で発想することが求められていると思います。

新沢 僕はこの2月までTBWA\HAKUHODOにいました。ここに来た理由は、データ&テクノロジーとグローバルビジネスにより深く関わるためです。実は、この両者を兼ね備えている会社は少ないんです。

特にWT Tokyoは、グローバルの他オフィスとの連携がすごく強いと思っています。先週も日本の競合プレゼンにグローバルのキーパーソンが一緒にプレゼンするために来日してくれました。今回の合併で連携がより強化された印象を持っています。



——最後にWT Tokyoとして、今後注力していきたいことを教えてください。

北島 WT Tokyoの強みは3つあります。ひとつは、「ユニバーサルブランディング」。ブランディングの重要性が認知されている中で。グローバルで通用するブランディング戦略とクリエイティブを提供できます。

2つ目は、「グローバル使い放題」です。ヒエラルキーのない2万人の優秀な仲間がいますので、いまの時代にあったサービスを提供できます。

3つ目は、「データ戦略クリエイティブ」です。データから導き出されたカスタマージャーニーやCX(Customer Experience)をもとにクリエイティブ開発ができます。

旧JWTのブランディング、Wundermanの顧客経験価値の向上の両者をミックスさせることで、ビジネスをグロースさせていきたいと思っています。

新沢 社内でWunderman、JWTとそれぞれ異なるカルチャーで生きてきた人がひとつになろうとする中で、標榜となる言葉として「Future Proof」を掲げました。これは、未来の課題を解決するクリエイティブカンパニーという意味になります。

グローバル化やデジタル化への対応は今後、どんどん差がついていく領域です。その中で、我われはクライアントが10年後に差をつけられないように、未来に標準となっているソリューションを提供したいと思っています。
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