顧客基点の「ソーシャルメディア戦略」 #06

災害時、企業はソーシャルメディアで何を発信するべきか【風間公太】

前回の記事:
企業に必要なのは、河野大臣なみの「エゴサーチ力」

予期しない出来事に判断を迫られる


 この秋、続けざまに大きな台風が日本列島に襲来した。被害に遭われた方々には心からのお見舞いを申し上げ、一日でも早い復旧・復興をお祈りいたします。

 過去最大級、地球史上最大級とも呼ばれた10月の台風19号の際には、交通機関の計画運休だけでなく、コンビニ、スーパー、百貨店や飲食店などが臨時休業や営業短縮を事前に決める、小売業が過去にあまり経験したことがないような対応を迫られることにもなった。

 自社の従業員の安全、顧客の安全を最優先に考えなければならない中、必要な物を買い求めたい顧客も多数存在する。台風19号最接近の前日10月11日(金)には、防災アイテムや食品を中心に在庫が不足する事態も頻出し、店舗に足を運んだが買いたい物が買えなかった方たちも多かっただろう。

 今回は、災害時に企業のソーシャルメディアは何ができ、何を発信すべきなのかを、各社の投稿を振り返りながらみなさんと一緒に考えてみたい。
 

あたりまえに日々営業している店舗が休業する非常事態


 普段の認識では常に営業していることがあたりまえであり、生活のライフライン的存在とも呼べる大手コンビニ3社(セブンイレブンファミリーマートローソン )の10月12日(土)のTwitterの投稿を見てみよう。

 筆者は台風19号接近前後の数日間、この3社の投稿を確認していたが、見落としや原稿執筆時点(10月20日)で投稿を削除/修正などされていたらご容赦いただきたい。
 
ローソン 公式Twitterより

 3社の中で、この日台風関連についてツイートしているのはローソンのみ。上記画像の投稿に続いて、同日の昼、夜にも店舗の営業状況についてツイートし、翌日には営業再開の状況を伝えている。

 セブンイレブンは商品情報とメディア掲載情報、ファミリーマートは商品情報を投稿しているが、台風関連の情報は見つけられなかった。この2社のツイートの投稿時間を見ると、××時00分ジャストの時間に投稿されているので、事前に準備した予約投稿だと想像するが、こういった有事のときに企業からの最新の一次情報を期待するのは筆者だけではないはずだ。

 各社には個店でアカウント運用している店舗もあり、営業状況を逐一伝えているアカウントも存在したが、数百万人を超えるフォロワーを抱えるメインアカウントで自社の“いま”についての情報発信が無い状況は残念でならない。

 では、例えば小売業であれば、どのようにソーシャルメディアを活用すればよいか。

 まずは正確な情報を把握するため、社内の各部署の連携は欠かせない。もしソーシャルメディア運用をマーケティング部が主管しているならば、広報、店舗を管轄している部署、経営企画部、カスタマーサポートなどの部署とは、特に密な連携が必要だ。

 そして、何を発信するのか。

 店舗情報も営業時間や休業告知に限らず、店舗内や駐車場の混雑状況なども役立つだろうし、冒頭に述べた防災アイテムを取り扱っているのなら、それらの在庫状況を伝えることも顧客にとっては価値が高い情報だ。

 もちろん、Webサイトの店舗情報やプレスリリースへの掲載も重要だが、災害時にはWebサイトへのアクセスが集中することも想像されるので、インフラが強固なソーシャルメディアを併用することはとても有効だ。

 また、こんな時こそ企業同士が手を取り合った情報発信も実施したい。ある程度のフォロワー/ファン数を持つアカウントは、情報伝達のハブにもなる。同業種や同地域の企業同士が、お互いの投稿をリツイートやシェアしあえば、その情報は自社の力だけでは届けられない人たちにまで拡がっていくだろう。

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