マーケティングの現場から考える「5年後の実際」 #06

LINEは、CRMの何を変えるのか? 自由に旅できるオープンワールドな「顧客体験」の世界へ

前回の記事:
【提言】 次世代マーケターに求められる5つのスキル

LINE活用から考えるマーケティングの未来


 ヤフーとLINEの経営統合のニュースには驚いた。様々な憶測や見解が飛び交ってはいるが、個人的にはAIや決済といった要素が、革新的なサービスがどんどん生まれてくる土壌としてのプラットフォームづくりに繋がっていることを期待したい。

 ここ1年ほどLIFULLでは、マーケティング活動にLINEをプラットフォームとして積極的に活用してきた。

 今回は、私のチームが取り組んだLINEとの取り組みをベースに、One to Oneマーケティングの新たな視点、ひいてはマーケティングの未来を考えたい。



 企業がLINEを活用する場合、プロモーションとして使うのか、CRMとして使うのか、或いはその両方か?スタンスを決めておいたほうがいい。

 当社では、スタンプなどのプロモーションを実施し、新規獲得した友だちに向けてCRMを行う目論見だった。

 しかし、集まった友だちが誰なのか(どの経路で友だち追加されたのかも)、実のところ全くわからない。それを知るためにはID連携が必要になるのだが、それを促すインセンティブなどのコストもバカにならない。そういう意味でも「後からID連携」のハードルは高い。

 ID連携がなくても、LINEデフォルトのデモグラ指定機能があるため、性・年代・エリアを区切ったマス的な配信は出来る。しかし、友だちごとに違う文脈を線として掴めない点は、プロモーションによる獲得からCRMに移行する上で大きな障壁になる。

 大半の企業アカウントがLINEをTwitterやFacebookなどのSNSアカウントと同列として捉え、キャンペーンの告知やブランドサイトへの誘引を目的とした、脈絡のないざっくりした配信ばかりに偏ることは、私自身、ユーザーとしてもマーケターとしても不満だった。

 しかしやってみて分かった。プロモーション手段によっては、友だちを集めた時点でCRMへの道のりが長く、ソーシャルエンゲージメント活動が目下の中心となることが決まってしまうのだ。

 SNSアカウントがひとつ増えて収益も純増する事業構造ならばいいが、そうではなく、あくまでもCRMの一環として成果をあげたい場合、「友だち追加」の導線からよく考えたほうがいい。

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