PHOTO | 123RF
サントリーが進めるデジタル人材育成講座 #02

「ビジネススキルの有無が、デジタルマーケティングの成果を左右する」サントリー 室元隆志

ビジネス基本スキルとビジネスアドバンススキル

 「ビジネス基本スキル」とは、例えばプレゼンテーションスキルが挙げられる。デジタルマーケティングの企画を説明するために欠かせない能力だが、意外と苦手だったり、そもそもの方法を知らなかったりするメンバーも多かった。

 そのため、相手にわかる資料をつくるために膨大な工数を費やしてローンチまでのリードタイムが食われてしまい、肝心の具体的な中身の設計や実装にほとんど時間がかけられない、といった事態が発生していた。

 また、昨今の「働き方改革」という観点でも、まず基本スキルを向上することで業務効率化を図り、デジタル業務そのものに工数をかけられるようにできる。あるいは、さらにチャレンジングなデジタルマーケティングに挑戦する時間をつくろう、というのが我々の人材育成の基本方針になる。

 そして、「ビジネスアドバンススキル」は、ロジカルシンキングやファシリテーションといった類の能力だ。なぜこれがデジタル人材育成に必要なのかは、次回に詳述したい。
 

スキルのレベル定義とPDCA 

 この4分野に関して、どのようなスキルが必要かをリストアップし、それらのレベルをシンプルに3段階に定義している。
 
  • レベルⅠ 知識として知っている
  • レベルⅡ スキルを使いこなせる
  • レベルⅢ 人に教えられる

 各メンバーの経験や社内資格レベルに応じて、マネジャーと年初に必要なスキルを協議し、現時点でのレベルを確認し、年度末にはどのスキルをどのレベルまで向上させるかを話し合う場をつくり、四半期ごとに進捗を確認している。

 そういった人材育成のPDCAサイクルを回すことで、昨年は短期間でデジタルの経験の浅いメンバーも、デジタルの仕事を最低限、回せるように底上げできた。そして経験のあるメンバーは、さらにハイレベルなアウトプットができる人材を目指してきた。
 
版権: rawpixel / 123RF 写真素材

 スキルアップを図るための研修メニューも常にブラッシュアップを心がけている。研修終了直後に自社製の無記名式Webアンケートを配信し、一週間以内に研修内容の理解度、良否、改善ポイントをチェックして、次の別の研修や半期後に異動してくる転入メンバー用の研修内容を改善している。

 次回は、デジタル人材育成において、成果の拡大につなげる「ビジネススキル」の大切さについて詳しく述べたい。
他の連載記事:
サントリーが進めるデジタル人材育成講座 の記事一覧
  • 前のページ
  • 1
  • 2

マーケターに役立つ最新情報をお知らせ

メールメールマガジン登録