デジマ女子部 スキルアップしたい女子デジタルマーケター大集合! #05

JTBが教える、データ分析から「One to Oneコミュニケーション」を実現する手法 【デジマ女子部】

納得性の高い分析は、仮説検証の繰り返しから


 第2部では、実際にJTBで行っている分析を体験するワークショップが行われた。

 まず分析チームリーダーの増原直美氏が登壇し、「ただデータを眺めていても傾向は見えないので、仮説を立てることが必要になります」と説明。
 
JTB Web販売部 増原直美氏

 その際、すでにある情報から仮説を立てる場合もあれば、先に仮説を立ててから情報を集める場合もあると紹介し、「情報から入った場合は、きちんと現状把握をしたうえで仮説を立てられるため、納得性の高い分析ができます。一方で仮説から入った場合は、マーケターの洞察力に左右される部分はあるものの、新しい発見ができる可能性があります」と語った。

 説得力の高い分析結果を導き出すには、仮説検証を繰り返すことが重要だ。たとえば、平日に40代女性がひとりでホテルに宿泊していた場合、宿泊の目的は出張だという仮説が立てられる。しかし情報を深掘りしていくなかで、その人は埼玉県在住で宝塚の宝塚歌劇団の劇場近くのホテルに宿泊していたことまで分かると、出張ではない可能性が見えてくる。

 さらにその人が以前宿泊した場所を調べると、日比谷の劇場近くに宿泊していたことも分かった。これらの情報を総合すると、女性が宝塚ファンである可能性が確度の高い仮説として立てられる。増原氏は「事実に着目して仮説検証を繰り返すことで、最終的に導き出す仮説に深みを持たせることができるんです」と話す。



 また、「顧客ニーズの探求には、行動を起こすきっかけとなるインサイトへの理解も欠かせない」と増原氏。インサイトを考えるときのポイントは、天使と悪魔の二面性を考えることだという。

 たとえば、某ファーストフード店でヘルシーなメニューが要望され、いざ商品開発をすると全然売れず、反対にジャンキーなメニューが売れるといったことがあったという。この話を例に増原氏は、「私たちがお客さまのインサイトを考えるときは、一面だけを見るのではなく、必ず裏にブラックな気持ちがあることも考慮しています。イメージとしては、欲望の曼陀羅図のようなもの」と説明した。

 こうした話を踏まえて行われたワークショップでは、国内旅行に関するさまざまなデータから事実を読み解き、顧客行動に関する仮説や新たな施策を導き出すことに参加者が挑戦した。10分ほど個人で考えたあと、グループでディスカッションを行い、全体に向けてそこで出た内容が発表された。

 ワークショップの締めくくりに西井氏は、「僕も同じように分析をしてみましたが、思いつかないような気づきをされている方がたくさんいて、おもしろかったです。事業会社のマーケターは自社事業や商品に詳しいことが最大の強みですが、それに加えて大事なのは現状分析をきちんとして、競合他社も含めて自社の強みがどこにあるのかを把握すること。そのうえで弱みをなくすのか。強みをさらに伸ばすのかなど、戦略を立てることが重要です」と話した。

マーケターに役立つ最新情報をお知らせ

メールメールマガジン登録