Adobe Summit 2020 レポート #01Sponsored

【奥谷孝司 解説】Adobe Summitに見るNew Normalな世界の顧客体験

 

「New Normalな世界の顧客体験」とは何か。


 昨年に続き、今年もAdobe Summitを「体験」してきた。しかし今年のイベントの体験方法は当然ながらオンラインだ。コロナ禍の世界において、イベントはオンラインがメインになってきている。

 リアルな体験が好きな筆者にとっては少し寂しさもあるが、オンラインのおかげで何度もコンテンツを見返し、字幕もついているので理解も深まる。迅速にイベント手法を変えたのも、さすがアドビだ。

 今年は200近い国と地域から45万人を超える参加者が報告され、ここにもイベントのデジタル化の効果が窺える。来年以降は分からないが、誰もが参加できるわけではなかった本サミットのデジタル化は情報格差を是正し、まさにB to Bの世界においてもデジタルを活用したマーケティング、営業の可能性を示している。本Summitでもキーワードとして挙げられる、パーソナライズ化、関連した情報への容易なアクセスを実現しているとも言えるだろう。

 みなさんもぜひ、このレポートを通してサミットの概要をご理解いただき、その上で興味のあるセッションを見ていただきたい。アドビユーザーでなくても見る価値のあるセッションが揃っているし、確実に進化しているアドビ製品の理解に加えて、デジタルが当たり前の世界になりつつある中での顧客体験設計を考えたい人は多くの示唆が得られると思う。

 初回は今年のセッションから見えてきたキーワードをいくつか紹介しながら、New Normalな世界に向かうお客さまとつながる方法について考えていきたいと思う。
 

1.    顧客経験をビジネスに落とし込む具体的手法 Playbookとは


 Adobe Summit 2020 のテーマは、2017年から続く「Make Experience Your Business」というメッセージに「Design Your CXM Playbook」というセンテンスが追加された。

 みなさんはPlaybookとは何かご存知だろうか。日本の方には馴染みのない言葉であろう。アメリカンフットボールに詳しい方はご存知かと思うが、Playbookとは、アメフト選手が常に試合前に確認するテキストであり、どう戦うのかを詳細に示した指南書だ。プロフットボールのPlaybookは300ページ以上にわたり、図解、戦術、専門用語で埋め尽くされ、いかにチームプレイを実現し、その作戦を実行するのかが詳細に示されている。これを理解した上で、各プレイヤーは自分のミッションを理解し、正確にその内容を把握、実行する必要があるのだ。

 つまり、優れた顧客経験の実現のためのPlaybookをアドビが提供すると表明したわけだ。いままで多くの企業が優れたツールを導入しても、その機能を完璧に使いこなせない、もしくは自社のDX戦略、顧客体験設計の全体的位置づけや優先順位が不明確なまま分不相応なツール導入で消化不良に陥ることが多かったところを、アドビは自社のDX、ビジネス変革の経験と、アドビ製品を使いこなし、優れた顧客経験を提供する企業の知見を融合し、クライアント、ポテンシャルクライアントの現状把握と実現すべきDX変革の計画策定のサポートを行うと宣言した。

 優れた顧客経験の提供は売上に直結するのかといった話は常にあるが、アドビがForrester社に依頼したリサーチによると、顧客経験向上に向けた取り組みは、ブランド認知、LTV、広告効果、顧客満足、さらに従業員満足度にまでプラスの影響を与えることが示されている。この点は学術的に興味深く、世界中のマーティング学者も注目している優れた顧客経験の提供と、その効果に関する知見が明らかになりつつある。しかし、実際に顧客経験の向上を重要戦略として実践していない企業が多く、アドビはこのCXM Playbookを作成したという。

 この内容は6つの視点から構成されている。内容を筆者なりに表現し直すと、1)デジタルファーストになれているか。2)データドリブンな環境になっているか。3)デジタルコンテンツの拡張性が担保できているか。4)パーソナライゼーションの最適化、最大化ができているか。5)カスタマージャーニー管理、顧客時間の管理ができているか。6)オムニチャネル対応ができているか。

 これらの視点で、Playbookから自社の診断を行うことができるのだ。現在は英語のみであり、必ずしも日本のデジタルマーケティング環境に合致している内容とは言えないが、このプロセスと全体理解は今後の顧客経験設計においていずれも必要不可欠だ。

 こちらのURL(https://experienceleague.adobe.com/playbook/)からも確認できるし、10分ほどの時間で設問に回答していくと、100ページ近い自社のPlaybookが出来上がる。まだまだ日本市場向けにカスタマイズが必要なものではあるが、一度目を通してみると良いし、ここまで現場に降りてくると表明しているアドビがどの程度、本気で我われをサポートしてくれるのかに期待したい。

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