Adobe Summit 2020 レポート #01Sponsored

【奥谷孝司 解説】Adobe Summitに見るNew Normalな世界の顧客体験

 

2.    今年のサミットはマーケティング以外の人にも聞いてもらいたい! MarTechの重要性


 昨年のレポートで筆者は、CMO/CDOのデジタルシフトへの挑戦や、オムニチャネルの実践事例、その実現のために必要なあるべきコンテンツマネジメントの手法といった煌びやかな内容を解説し、これからの顧客経験の形成に不可欠なデジタル活用事例をぜひ経営レベルの人材にも感じてもらいたいというメッセージをお伝えしていた。

 だが、今年はどちらかと言うとCIO/CTO、そしてデザイナーや法務/CLOといった幅広い人材にも本サミットの情報を共有したいという思いに駆られた。昨年のような具体的な事例を語る事業会社が少なかったのは、新型コロナウイルスの影響かもしれないが、今年からさらに進展が進むデジタルをベースとした顧客経験の設計には、テクノロジーサイドのサポート、Privacyの問題をクリアにしたパーソナライゼーションの実現、様々なタッチポイントへのコンテンツ提供の迅速化手法とコンテンツ作成者の労力削減にむけたシステム設計が必要になる。

 アドビはAdobe Experience Managerを活用することで、その実践が米国では始まっていることを教えてくれる。CMO、マーケターが今年やるべきことは、苦難に直面するお客さまと向き合い、お客さまの代弁者として顧客理解を深め、お客さまの課題解決を今まで以上に実践していくことである。

 その実現に必要不可欠なのが、CIO/CTOそして、CLOといった専門家の力を結集して顧客経験を構築することだ。今回のSummitではMarTechという言葉を頻繁に耳にした。この言葉は、ビジネスとIT活用を結びつけることで、新たな顧客経験価値を生み出していくこと、そのために企業がマーケティング活動にITを取り入れることで、より効果的なビジネスを実現することを意味する。去年から提唱され続けてきた、ITとマーケティングの融合はコロナ禍においてビジネスを展開していく我われにとって必要不可欠になり続けているのだ。

 今回のSummitを聞いて思いついたあるべき経営組織のフレームワークを示す(図1参照)。
 
図1:顧客を中心に据えたMarTechの実現



 今こそデジタルを活用した顧客経験実現のためにも、この図に示すような経営の中心に顧客をおき、改めて優れた顧客経験を提供することで立て直し、さらに進化させる必要がある。CEO、COOは外部環境と経営管理を行いながら、CMO/CDOが顧客と向き合える環境をCIO/CTOが構築できる体制を構築するべきだ。

 この重要性が今年のSummitで改めて確認できた。そして緊張感を持ってDXの推進を強化しなくてはいけないという危機感も皆さんにもぜひ持っていただきたい。今こそDXを経営の中心に据える覚悟が求められているのだ。

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