Adobe Summit 2020 レポート #01Sponsored

【奥谷孝司 解説】Adobe Summitに見るNew Normalな世界の顧客体験

 

3.    パーソナライズの実現にむけて- DAMの重要性


 CEOのナラヤン氏が毎年強調するメッセージは「Personalized experience」と、「Relevant information(お客さまの興味関心のある情報)」の提供である。これらの組み合わせが優れた顧客経験設計に欠かせない。



 これらのBuzz wordはマーケティング、消費者行動関連の論文でも多く見受けられ、この具現化、具体化、収益化は実務家の注目の的である。昨年筆者はContent Velocity「より多くのコンテンツを迅速につくり出し、適切なターゲットに届け、パフォーマンスの結果につなげること」の重要性を訴えたが、この実現には社内におけるコンテンツマネジメントシステム構築が求められる。

 今年はアンダーアーマー社やB to B企業が実践する具体的システム構築事例の紹介があった。このようなコンテンツの存在が、CMO/CDOはもちろんCIO/CTOにとっても今回のSummitを見てもらいたい理由でもある。

 また、今年はContent Velocityの実現に必要なDAM(Digital Asset Management)という仕組みの構築を提唱してくれている。DAMとは、テキスト、動画、写真、カタログデータなどのデジタルコンテンツを、プラットフォーム(Adobe Experience Cloudなど)に一元的に管理することを指す。

 やはりまだ多くの企業においてこのDAMの重要性は理解されているとは言えない。というのも、非効率でもお客さまとのタッチポイントごとに気合いと根性でコンテンツをつくり上げることに依存している縦割り組織な企業が多いからだ。

 しかし、これからの働き方やデジタル化された顧客接点の増加を考えると、図2で示すようにDAMを中心にWebコンテンツの管理、それに基づくCRMの実践、MAツールの活用をできればクラウドで行うことで、いつでもデジタルアセットを管理でき、PDCAの運用体制を構築する必要がある。
 
図2 DAM- Digital Asset Managementの重要性



 このPDCAのシームレス化に対応できなければ、デジタル時代の優れた顧客経験の構築に求められるContent Velocityの実践は難しい。マーケターはどうしても、消費者の行動、現象、結果に囚われがちだが、今こそ、そのスピードアップと運用体制の整備にも目を向けてもらいたい。

 DXを経営の中心据えるチャンスとして、CIO /CTO、COOとこのようなプラットフォームづくりを進める議論を、優れた顧客経験設計と提供のために行うべきであろう。

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