顧客基点の「ソーシャルメディア戦略」 #13

「鬼滅の刃」に学ぶ、参加型SNS企画が成功する秘訣

 

「鬼滅の刃」に見る、参加したいと思わせる企画とは?


 では、企業がこれらの事例のように、魅力的な参加型企画を実施する上で重視する点はどこだろうか。そのヒントを探るべく、前述した柱チャレンジや診断メーカーなどで、「鬼滅の刃」の何がその料理の素材となっているのかを列挙してみよう。

・「もしもーし」「嫌われてない」「派手派手だ」など、ひとことでこの柱だとわかる印象的なセリフ

・水柱、炎柱、蟲柱、恋柱などの各種柱

・水の呼吸、雷の呼吸、風の呼吸などの多種多様な呼吸

・漆黒、黄色、青色などの日輪刀の色

 …と、挙げ始めたら、登場人物に限らず、モノや技も含め、参加者を投影させる対象物がこれでもかというくらい複数存在する。この対象物を、自社の商品やサービスに置き換えて考えてほしい。参加者が自らを憑依させたいと思わせるような対象の存在と多様さは、参加型企画成功の手がかりのひとつかもしれない。

 さらに、企画の難易度も慎重に定めたい。あまりにも難易度を高く設計してしまうと、特定層向けのみの企画になってしまう恐れがある。しかし、だからと言って単純すぎるような企画は、さらっと流れてしまって盛り上がりに欠けてしまうこともある。

 筆者の経験からも、実は難易度はそこそこ高いくらいが、ユーザーのクリエティブ心を刺激し、質の高い参加型企画が形成されることが多いと感じている。そう、「ほどよいハードルの高さ」。この”ほどよさ”を何とか見極めたいものだ。


 

 公式アカウント運用の現場のみで、既存のアニメやキャラクターとの協業企画の実施は、それこそ難易度が高い領域だと思うが、自社の商品やサービスを企画の中心に置き、例えば商品の使い方を投稿してもらう、自社の広告をユーザーに素材としてアレンジしてもらう、商品やサービスを擬人化してみるなど、自社の資産を活用した参加型企画は、どの企業でも考案できるだろう。

  特設サイトを用意しなくても、SNS+ハッシュタグだけで参加型企画の実施は十分可能だ。ファンの企業に対する思いを可視化するような、熱量が高い参加型企画がSNS基点でさらに登場してくることを、全集中で待つことにしよう。
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