マーケティングの現場から考える「5年後の実際」 #08
サービスとプロモーションが深く結びつく時代、「体験価値」の再定義が必要になる
2020/09/08
体験価値が及ぼすPLへの影響
ここまでは事例をベースに、「体験価値」の重要性をマーケティング4Pにおけるプロダクトやプロモーションの観点から深掘りした。最後にもう一歩俯瞰してPLレベルでの影響に触れておきたい。
まず、体験価値をつくるためにはコストが先行する。IDOMのようにサービスそのものとして具現化していく場合は特にだ。SNSやCRMにおける双方向性の対話も例に挙げたが、運用も含めて高コスト化することは目に見えている。
では、そのコストはどこから付け替えて来るのか?付加価値として価格に転嫁するのか?いや、まずはマーケティングコストのリアロケーションから考えるべきだろう。生産・流通・運用などバリューチェーンの様々な省力化・自動化の努力はそれはそれとして、プロモーションの組み直しが大きなテーマとなる。
DA20のラップアップセッションで(当時)エトヴォスの田岡氏が語ったように、体験価値がSNS上の第三者推奨と指名検索を増加させることで、集客コストが低下するサイクルが理想である。またIDOMの例では、ガリバーオートの体験価値が、7年後のクルマ買い替えサイクルにおける第一想起の獲得に還流する形で、認知獲得コストを長期的に抑えることができるかもしれない。
体験価値を「モノ+サービス」という単純な図式で理解するだけではなく、プロモーションやその他のコストの内訳をどのように塗り替えてスケールアップさせていくか。
こういった視点で体験価値を再定義し、コロナの時代を乗り越えていきたい。
- 他の連載記事:
- マーケティングの現場から考える「5年後の実際」 の記事一覧