デジマ女子部 スキルアップしたい女子デジタルマーケター大集合! #07

コロナ禍のプロントの戦略。店舗とファンをアプリでつなぎ、送客アップ

 

プロント:ライトなリピーター層とコミュニケーション


 続いて、プロントコーポレーション 営業企画グループの矢野純子氏がアプリの取り組みを紹介した。同社は2018年6月にプロントのファンツールとしてアプリをローンチ。それ以前からポイントや割引などの特典が付くメンバーズカードを運用してきたが、顧客分析をしたところ、リピーター層が売上を支えている構造が分かり、ライト層にもっと来店してもらうために、ファンツールとなるアプリが必要だと考えた。

 アプリの名称は、プロント活動を略して「プ活」。キャラクターもオリジナルで制作し、軽い気持ちで使ってもらえることを目指した。これまで同社ではSNSなどデジタル施策を実行してきたが、どのように店舗送客につながるかが可視化できていなかった。しかし、アプリでクーポン配信を始めたことで、店舗への送客が数値化。また、既存のサイトやSNSにもアプリへの送客という明確な役割が生まれ、それぞれの運用がスムーズにいくようになったという。
 
プロントのアプリ「プ活」

 ところが、ローンチ後の半年間は、ダウンロード数は目標の3倍強を達成したものの、クーポンの利用数が想定よりも伸びず、目標の1割程度にとどまった。アプリのコンテンツは、ファンが商品誕生の背景となる物語を求めているという仮説のもと、メニューのこだわりを伝えるコラムを掲載していたが、閲覧数が伸びなかった。そこでWebアンケートや社員インタビューを行い、改めて来店促進と新規ファンの獲得を目標に、メニュー情報の充実とクーポンへの動線強化を図ったリニューアルを行った。
 
 そこでは、ニーズの高かったメニュー情報やクーポンに遷移できるボタンを、最も目につきやすいトップの中央に配置。クーポンも商品内容や値段、使い方が直感的に分かるようUIを改善した。これにより、リニューアル直後からクーポン利用数が改善し、コロナ禍の影響を受ける直前まで伸び続けた。この話を受けて西井氏は「社内に一番のお客さんがいたりする。社員インタビューは有効だ」と話した。
 
 現在はコロナ禍で、店舗の短縮営業や店内利用人数の減少といった変化が起きている。そこで同社は、アプリで素早くテイクアウト限定クーポンの配信を行ったり、店舗の営業情報を随時更新したりと、アプリが顧客との関係をつなぐ役割を果たせるように意識している。
 

ユーザーが発信しやすいコンテンツを準備


 最後に、参加者から事前に募集した質問に西井氏が回答した。
 
 ファン向けにどのようなコンテンツを用意すべきか、という質問に対して、西井氏は「今の時代はユーザーが発信したくなるコンテンツを載せるといい」とアドバイス。スマートフォン上の行動のほとんどがTwitterやInstagramなどのユーザー生成コンテンツの閲覧であることから、自社のサービスについてユーザーが発信したコンテンツをまとめて見られるページをつくることで、興味を持ってもらいやすいという。
 
 「現在はどこの企業も似たような情報を発信しているため、例えば、コーヒーであれば、企業がおいしい飲み方を紹介するよりも、ほかのユーザーがどのようにその会社のコーヒーをおいしく飲んでいるか、という情報の方が興味を持たれやすい。そういった観点で、コンテンツをつくるといいと思います」(西井氏)。
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