新・企業研究 #06

「建築士のように、企業と消費者とのギャップを埋めたい」インセンス 河野矢薫氏

 

サイバーエージェントから独立した理由


ーー2013年にサイバーエージェントから独立した理由は、何だったのでしょうか。

 サイバーエージェント時代の同期から話を聞いてもらうと分かるのですが、実は僕、在籍当時の営業成績がとても悪かったんです。

 その状況から抜け出そうとするほどに、自分の数字を達成させることばかりに意識がいき、お客さまに利益率の高い商品ばかり提案して、受注もできないという悪循環に陥っていました。そんな状況が続いてしまうなら、会社を辞めて、会社の目標と関係なくお客さまに必要なものだけを提案しようと考えました。そうすれば結果がついてくるのではないかとも思ったんです。

ーー営業成績が悪いから独立するというのは、珍しいパターンですね。

 そうですね(笑)。月に30万円ぐらい稼げば、生活できるだろうと思っていましたし、ダメだったらアルバイトをして生きていこうと腹を括っていました。

 でも、「お客さまの役に立ちたい」という想いから会社を辞めたので、絶対に失敗はしたくはなかった。それで、とにかくデータを見せてもらうことにこだわりました。Webサイトはじめ色々なデータの数値を見せてもらって、その数字を改善していければ、自分のビジネスとして失敗しづらいと考えたんです。

 また、クライアントは、自分たちが持っている数字がある意味で「当たり前」の存在なため、意外と疑って見ていないケースも多いです。
 

五輪正式種目 3人制バスケットボールチームを運営


一一インセンスの他の会社にない特徴としては、プロバスケットチームを運営していることだと思います。

 はい、ひとつの事業部として、3x3のプロチームを運営しています。と言っても、現在はまだまだビジネスとして成功しておらず赤字になる部分も多々あります。

 プロバスケットチームを運営している理由には、自分自身がバスケットをしていたこともあるのですが、何よりスポーツの広告メディアとして可能性を広げたいという思いが強いです。



 マイナースポーツは運営資金を集めるのが大変です。では、集めるためにどうするか。よくあるのが、スポンサー企業の担当者がバスケット好きだったので、個人的な情熱で支援してくれるというパターンです。

 でも、それでは持続性がないので、スポンサー企業にきちんとリターンができるメディアにしていきたいと思っています。例えば、ユニフォームの胸スポンサーになることで、どのぐらいの数のファンの気持ちが変わったかをデータで可視化して、より価値提供できるようにしたいんです。

 3x3はオリンピック競技にもなっています。私のチームには日本代表候補も所属しているので、彼が出場してくれたらいいなと思っています。

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