業界人間ベム #特別寄稿
業界人間ベム 特別寄稿「2021年 広告マーケティング業界5つの予測」
予測1. テレビデジタル統合型オンラインプランニング&バイイング
米国ではThe Trade Deskの時価総額が2兆円を超えた。WPPグループなどが1兆円そこそこであるにも関わらず、千数百人のDSPオペレーター集団が2兆円以上になったわけだ。
投資家が何を評価したのか。ひとつにはテレビ広告枠のオンライン・バイイングオペレーションとして、デジタルとテレビを統合的にオンラインでバイイングする仕組みにコロナ禍の広告業界で唯一、将来性を見出したからだろう。
単にデジタル広告をDSPでRTBするのではなく、それができないテレビ枠もターゲティングして買い付けるオペレーションの成長性を評価した。つまり、「テレビ×デジタル」の統合プランニングとバイイングを、オンラインで完結するスタイルで行うということだ。
テレビ枠は、手売りから脱却して、大きな枠ではなくアドレッサブル(視聴者ごとの配信)も可能な小枠ではあるが、ある程度ターゲティングができ、テレビCMとデジタル広告の相乗効果への期待が大きい。日本でも、これができるプレイヤーは注目されるだろう。必要な要素は、次の3つである。
- オンラインオペレーションであること
- プランニングからバイイング、レポートまで一環として可能なこと
- プランをオンラインでプル型営業も可能なこと
こうしたプレイヤーを使う広告主は、Webサイトへの流入やアプリダウンロード数など効果が直で把握できるタイプの事業者からスタートして、テレビCMの効果とテレビ×デジタルの相乗効果を試していくことになるだろう。
また本来、広告主をエージェンシーのスタッフが何度も往来し、擦り合わせて仕上げる仕事の典型だった広告にも変化の兆しがあらわれる。ひとつは広告主自身がオンラインシステムでプランニングするケース、もうひとつはプランニングをプル型で広告主がエージェンシーから買うケースだ。これには動画を含めたプレゼンテーションが利用されるだろう。