業界人間ベム #特別寄稿
業界人間ベム 特別寄稿「2021年 広告マーケティング業界5つの予測」
予測4:プッシュ型メディアの見直し
コロナ禍で広告の接触機会は、テレビとデジタルにかなり寄せられた。とはいえ、昨年はテレビも特にスポット枠の減少が著しく、局の放送収入だけでは赤字という企業も多いだろう。だが、他媒体のダメージはもっと大きい。テレビは回復が見込まれるが、他媒体は復調するイメージがない。
ただし、だからと言ってデジタルは安泰という訳にもいかない。既存アナログメディアに比べればはるかに堅調ではあるが、2021年の個人消費や企業業績の回復が見られない、いわゆるL字基調だと、デジタル広告市場も効果的な売り物の限界が近づいており、また一部の個人データを使ったターゲティング広告にストップがかかる可能性もあって、選択肢が少なくなるかもしれないからだ。
こうした中、広告に求められる機能に改めて消費者に「気づき」を与えるメッセージが期待される。新しい生活様式や社会の構造変化が進む中で、新たな商品やサービスの価値を“気づいてもらう”プッシュ型を見直さなければならない。
「変化の時期」には、消費者が思いつかないことを伝えるという広告本来の役割に先祖返りする可能性が高い。また、テレビには初めて出稿する広告主がたくさん出てくるだろう。初物、初CMへの注目は比較的高くなり、テレビ初出稿の広告主は、その効果を実感するだろう。
また、CMクリエイティブは、デジタル動画ではどうスキップさせないつくりができるか、さらにデジタル動画とテレビCMをどうつくり分けるのか、そして両方接触した人にどのような相乗効果を醸成できるかを設計するように進化するだろう。やはり変数としてクリエイティブが最も大きいことはデータが取れれば取れるほど、理解が進むはずだ。
そして新しい「気づき」は、何もテレビやデジタルの広告からばかりではない。SNSを通じたインフルエンサーからの「気づき」には大きな影響力があるのは言うまでもない。新しい生活様式時代に、新たな「気づき」をどう効果的に設計するか、コミュニケーションプランナーの腕の見せ所である。