業界人間ベム #特別寄稿

業界人間ベム 特別寄稿「2021年 広告マーケティング業界5つの予測」

 

予測5: エージェンシーの課題より広告主事業会社の課題がより大きく


 旧来型媒体のメディアレップ型エージェンシーの経営はかなりに苦しくなるだろう。そして淘汰が進むだろう。しかし、それは起こるべくして起きる淘汰で、マーケティング業界全体から見ると、より大きな課題はサービス供給型よりマーケター(事業会社)側にある。

 DXという潮流をプラスにできる事業会社と、むしろ混乱を招く事業会社に2極化すると思われるからだ。

 DXを単にデジタルデータの利活用とはき違えて、顧客にどんな価値を提供するかという本来の目的ではなく、手段としてのデータ活用を目的化してしまう企業が多く出てくるだろう。



 前述したようにDXの本質は、ビジネスの現場にデジタル思考を取り込める人財育成である。そのための環境づくり、仕組みづくりは必要だが、「データを活用すること」は目的ではない。むしろ、それに捉われて本質を見失うことへの懸念が大きい。

 こうした局面で正しい方向に企業を導くことができるプレイヤーは、事業会社内に人財が育成できるように実践、つまりエグゼキューションを伴ってマーケティングの本質からぶれないで、ビジネス価値を高めるためのデジタル化を共に推進する存在と言えるだろう。

 コンサルティング会社はエグゼキューションができない、SIerはマーケティングが分からない。その点、エージェンシーにはマーケティングコミュニケーションの本質が分かり、それを実践すべくエグゼキューションが可能だ。そうした力をどう事業会社に提供して、DXの本質を外さないサポートができるのか、そこが問われる。

 2021年は、そうした事業会社側の課題、エージェンシーにできること、期待されることの輪郭がだんだんと見えてくる年になるだろう。
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