日本企業に必要なのはデジタル人材ではなく、X人材だ!トランスフォーメーション人材養成講座 #02

日本の「DX」がバズワードで終わるのは、トランスフォーメーションマインドがないからだ

前回の記事:
DXブームに惑わされるな。日本に必要なのは、DではなくXだ
 

多くの人が抱く、“DXゴッコ”への疑問


 前回は「日本に必要なのは、DではなくXだ」と提言したところ、多方面で大きな反響をいただきました。やはり、多くの方々が、芯の無い「D」ありきの“DXゴッコ”に疑問や危機感を抱かれていることを実感しました。

 どうしてこうなってしまうのか? 悩ましいことに、日本企業の場合、経営トップとそれを支える経営陣、さらに執行を担う組織・社員の3つが正しくDXへの意義を理解して、全社一丸となって推進していないことが多いのです。

 私の知る限り、日本の大企業では、次のケース1、ケース2のどちらか、または両者の複合系が8割から9割を占めているように見えます。
 
  • ケース1:
 経営トップはDXの重要性を受けとめているが、他経営陣や推進・執行するミドル層にその意味が伝わらず、お茶を濁すようなデジタル改善や、POC(実証実験)で終わってしまう(このような組織体制も経営の責任ではありますが)。
 
  • ケース2:
 現場やミドル、心ある役員は本質的なデジタル変革の必要性を痛いほどわかっているが、経営トップが正しく理解しておらず、AI、データをバズワード的に掲げたり、経営チーム内の足並みが揃わなかったりして、まったく進まない。

 日本の外では、巨大なグローバルカンパニーが新規投資の50%以上をデジタルに振り分ける大胆な投資をして、聖域なきデジタル変革を推し進めています。

 日本企業も、経営がDXの重要性を正しく理解して、大胆な経営判断を行い、そしてその命を受けた執行チームは、経営と一蓮托生になってDXを推進する――。なぜこれだけシンプルなことが、出来ないのでしょうか?

 この理由を考えてみると、海外企業と日本企業の決定な差は、デジタルやテクノロジーのリテラシー、デジタル人材の差異と言った「D」側の問題ではなく、経営陣と組織の「トランスフォーメーションマインド」の差異に行きつきます。


 

トランスフォーメーションマインド(Xマインド)とは?


 2020年は多くの企業が”DX"というバズワードに翻弄され、「DXとは一体、何をすることなのか?」とコロナ禍の中で慌てている光景をよく見ました。しかし、ようやくDXについて一定の理解も深まり、腰を据えて取り組もうとする企業も増えています。

 しかし2021年になっても「DX、何から始めて良いかわからない?」と未だ悠長な相談を受けることも少なくありません。なぜ、ストレートにシンプルに変革へのスタートダッシュが始まらないのでしょうか?

 根源的なところにあるのは、「会社が“本気の本気”で変わりたいと思っているのか、変わる覚悟があるのか?」に行きつきます。

 言い換えれば、「経営トップが、まず全社を覆い包む変革への熱量を持っているのか?」「その熱量が経営役員、ミドル、さらに現場まで浸透しているのか?」になります。

 これこそがトランスフォーメーションマインドに他なりません。

 変革の熱量、覚悟、つまりトランスフォーメーションマインドがあれば、さっさと変革へ向かって着手して、その中でもがくことはあっても、「DX、何から始めて良いかわからない?」という、弱腰な発想には至らないはずです。

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