日本企業に必要なのはデジタル人材ではなく、X人材だ!トランスフォーメーション人材養成講座 #02

日本の「DX」がバズワードで終わるのは、トランスフォーメーションマインドがないからだ

 

次元の違うトランスフォーメーションマインドを生み出す「MTP」


 昨今、「パーパス」と言う概念が、ようやく日本でも着目されるようになってきました。経営理念やミッション、ビジョン、バリュー(MVV)と混同されがちですが、より根源的な「企業の存在意義」に立ち返る考え方です。

 ただし、シリコンバレーの革新的成長企業は、パーパスを凌駕する「MTP=Massive Transformative Purpose」を持っています。このMTP、日本では「野心的な変革目標」と訳されることが一般的ですが、これでは“攻めの中計(中期経営計画)”と同じようなニュアンスになってしまいます。

 例えば、電気自動車メーカーとして、今やトヨタ自動車の3倍の時価総額を誇るテスラのMTPは、「持続可能なエネルギーへ世界のシフトを加速する」です。驚くことに、自動車や移動という言葉は出てこず、彼らの存在意義はクルマや移動体を超えて、持続可能なエネルギーへのシフトに貢献することなのです。

 つまりMTPとは、「自分たちが、どう変わりたいか?」という自社都合ではなく、「世の中をどう変えるか?」という極めてスケールが大きい社会規模の概念なのです。


 

ミドルアップによる、一兵卒の闘い方


 急拡大を続ける海外のメガカンパニーは、“MTP”という社会へ向けた強烈な変革野望を持って、大胆に投資をして、全社変革を進めています。他方、日本企業では、内向きの自社の部分改善に留まり、MTPのスケール感を持っている企業は決して多くありません。

 では、これを読まれている、志(こころざし)と危機感を持つ皆さん自身は、どうすれば良いのでしょうか?

 皆さんの将来のキャリアと、日本の未来の人材活性化を思えば、MTPのない企業からは退散したほうが良いというのが本音ですが、現実的ではないと思う人も多いでしょう。

 幸い、良い意味で(トップダウン指向の海外大企業と異なって)ミドルアップが効くのが日本企業の組織です。このミドルアップに賭ける手があります。

 具体的には2つのアプローチがあります。

 1.長期思考のホラーシナリオ

 残念ながら日本企業のシニア経営層のデジタルリテラシーが高くないことが、日本企業の課題ですが、一方、将来の経営リスクについては十分な感度を持ったリーダーも少なくありません。

 デジタル、テクノロジーは2、3年のスパンでの普及動向は読めませんが、逆に10年というレンジであれば、どの技術が実用化されているか、予測精度はかなり上がります。

 技術を10年スパンで見たとき、「もし変革を放棄したままだと、どんな悲惨な未来が待っているか?」、この“ホラーシナリオ”を技術視点で合理的に語ると、経営陣に変革のスイッチが入る可能性は十分にあります。

 2.小さく実験

 デジタルの利点は、極めて安価に小さく始めることができるケースが多いことです。この利点を生かして、大きな経営判断がトップダウンでなされずとも、部署内予算で小さくプロトタイプを使った実験を行うことが可能です。

 自部署内でまずしっかりと小さな成果を定量的に精緻に実証して(これこそがPOCです)、その成果を社内で広げて行き全社展開につなげて行くのも有効な手です。

 ぜひこの2つのアプローチを進めながら、社内のトランスフォーメーションマインドを醸成していただきたいと思っています。
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