業界人間ベム #特別寄稿 #02

動画CMの主導権は、テレビとネットどちらが握るのか?【業界人間ベム 特別寄稿 #1】

 

デジタル化に、テレビ業界はどう対応した?


 次に、デジタル化という転機を迎えました。当時は、デジタル化投資にすべての局が耐えられるか、ローカル局との再編もあるかと議論もされましたが、何とか凌ぎました。

 デジタル化と言えば、日本の地上波デジタル放送方式(ISDB-T)は、南米で採用されました。ベムは個人的にアルゼンチンのISDB-T採用に協力された方を知っているので、このころの経緯を教えていただきました。しかし、せっかく南米のほとんどの国が日本の地上波デジタル放送方式を採用したにも関わらず、その優位をうまく活かせず、日本のテレビメーカーは韓国勢に南米でのシェアをほとんど取られてしまいます。



 価格の問題もあったかと思いますが、韓国勢のテレビはアンドロイドOSが載っていてスイッチをつけると、「放送を観るのか、ネットワークに接続するのか」を選択するのがデフォルトです。しかし、日本のテレビはスイッチをつけると放送されている番組を受信する状態がデフォルトです。

 実は、日本ではこうすることが決まっています。一般社団法人電波産業会という業界団体にテレビ局、テレビメーカーなど関連企業が入っていて、そこでテレビの規格、仕様が決定されています。業界で規格を決めること自体は特段悪いことだとは思いませんが、それは時代とともに、また視聴者のために変えていく必要があると思います。

 この件に関しては、2013年に起きた「スマートビエラ事件」で問題点が浮き彫りになりました。パナソニックのスマートビエラはスイッチをつけるとデフォルト画面で放送やネット接続などを選択できるようになっていました。これが規定違反だとして、テレビ局各局がこのスマートビエラのCM放送を拒否しました。これにヤマダ電機の山田会長が激怒して、スマートビエラを積極販売し、当時の年末ボーナス商戦でCMなしでも、4位の売上を達成したという話があります。

 テレビ業界に対しては、「電波オークションがないのは日本だけ」や「放送法にしっかり準拠しているのか」、さらには「新規参入が難しい利権ビジネスなのに」という声があります。

 前述したように非常に経済効率の高い周波数帯が既存テレビ局に割り与えられています。周波数をモバイル通信に割り当てることで、12.5兆円の市場と数十万人の雇用が生まれています。一方で、一番おいしい周波数を割り振られている放送業界は2兆円市場と3万人くらいの雇用です。

 もちろん経済面だけで価値を評価できませんが、周波数行政には国民のものである電波を最適に配分することが求められています。利権を守る姿勢ばかりが目に付いて努力が足りないと思われるのは、テレビ業界にとって決していいことではありません。

 どんな業界も利権で守られていると、活力を失います。新規参入組もあってしのぎを削ることでしか産業は活性化しませんし、存続もできません。

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