業界人間ベム #特別寄稿 #02
あまり知られていない、テレビCMの「到達」実態とは?【業界人間ベム 特別寄稿】
エリア別でリーチコストに差が出てしまう…
次にエリア別の、コストの話です。これも%コストで管理しているので、絶対数での数値に変換しないと、実際のひとり当たりのコストが分かりません。GRPを表示回数(インプレッション数)や到達人数に変換してみると、エリア別のひとり当たりのリーチコストが出るのですが、これがまたエリア格差がかなりあります。
関東のひとり当たりのコストに対して、ローカルでは半分や1/3のところもあります。これがビールだったら、関東の人はひとりでローカルエリアの3倍ビールを飲むことにならないとコストが合わないのですが・・・。
もちろん広告主ごとに持ち%コストが違いますからどんな広告主もこうなるかは計算してみないと分かりませんが、おおまかにこの傾向になります。よく「マスとデジタルのアロケーションをしたいので、何対何が最適配分ですか?」というオーダーをもらいますが、マスとデジタル以前にテレビのエリア配分の最適化をしないと、エリアコスト差のないデジタル広告との配分の最適化はできません。
そして最後に「年齢による認知度の差」があることを認識しないといけません。これを言い出すとフリークエンシー理論が崩壊してしまうのですが、高齢層は何回観ても認知しづらく、若年層は少ないフリークエンシーでも認知する傾向にあります。
これは業種やCMクリエイティブでも違いが出るので、広告主がそれぞれ調査すべきでしょう。私は若年層が一回でも認知する傾向があるならテレビも使うべきだと考えます。もちろんデジタルとの掛け算での話ですが・・・。
以上、おおまかなテレビCM(主にスポット投下)における、従来あまり知られていない実態です。
こちらの図では、参考までに関東地区で世帯2000GRPを全日で取った場合の到達人数と表示回数及びそのターゲット別構成比です。
これを見るとテレビがいかに大量にリーチするかが分かります。ネットで動画広告を4億7000万インプレッション投下するのはたいへんですからね。また年齢による到達効率の差も分かります。
ベムは講演では分かりやすいように、「テレビで女子高生にひとつリンゴをあげるためには、その子のお母さんに3個、おばあさんに6個、計10個用意しないといけない」という比喩で説明します。
さて、実態(強みと弱み)を把握したところで、デジタルとどう相乗効果を生めるか、そして今後はどんな商品設計や売り方ができるかを考えてみましょう。
第三回に続く。
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