デジタルマーケティングの現状課題と、解決に必要な方向性の考察【ユーキャン 鳥羽 渉】
2018/07/12
デジタルマーケティングの課題を俯瞰してみる
ユーキャンの鳥羽渉です。主にWebマーケティングを担当していますが、その他にもテレビCMを企画し、Webサイトに集客させて、最終的にコンバージョンに導く、いわゆる購買ファネルの上流から下流まで関わっています。
第一回は、そうした視点から現場のマーケティング担当者としての課題認識や、その解決への考え方を、俯瞰して提示したいと思います。
とはいえ、私がアカデミックで教条的な提言ができるわけはありませんので、あくまで現場の一担当者の「つぶやき」としてお読みいただき、少しでも皆さまの業務の参考になれば幸甚です。
マス広告は本当に劣化したのか?
最初に考えたいのは、ここ数年取り沙汰されているマス広告、とりわけテレビCMの劣化についてです。私も深く関わっていながらも、Web担当者の立場として、取引先との打合せの度に「マス広告の劣化」を枕詞のように使っていた時期がありました。
テレビCMは本当に劣化したのでしょうか。結論から言うと、決してそんなことは無いと思います。
当社キャンペーン期間のWebサイトへの来訪者数やそこからの獲得数は、テレビCMの反響によるところが大きいです。さらに、その期間外でも、テレビ番組の中でタレントが「ユーキャンやっています」と紹介してくれた時や、情報番組で特定の資格やスキルが取り上げられた時の、Webサイトへのアクセス数と獲得数は驚くべきです。
テレビの拡散力や、人を行動に駆り立てる力は、まだまだ他のメディアの及ぶところではないと実感しつつ、担当者としては「テレビで取り上げてくれないかな」と、常に他力本願的な願望を抱いています。
もちろん以前のように、老若男女問わず、あらゆる人に同じメッセージを訴求し、一斉に行動を促す力は低下していると思います。また、テレビでリーチできる世代や特性が限られているのも確かです。
ただし先ほど述べたように、具体的な行動に駆り立てる力は、他メディアにない「テレビの力」ではないかと感じます。単なる画角や視聴状況の違い以上の力があるのでしょう。
一時期、マスリーチの補完として様々なデジタル施策を試したこともありましたが、これといった代替案を見いだせていない現状からも、安易にテレビや新聞などのマス媒体が劣化したと考えるのは、危険かもしれません。