ZUKAN MUSEUM GINZA
『小学館の図鑑NEO』の世界をリアルに再現、銀座に“図鑑に飛び込む”体験型デジタルミュージアムがオープン
2021/08/03
ZUKAN MUSEUM GINZAができるまでの苦悩
九里 今回の企画は、2年がかりで仕込んでいました。はじめは、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の翌年にインバウンド顧客にも来ていただける体験型のアートができたらいいと考えていたのです。新型コロナウイルスの感染拡大や、オリンピックの延期は想定外の出来事でした。
「体験型施設のテーマを図鑑にする」と決めたのが2年前です。ちょうど小学館さんが100周年を迎えるタイミングということで、周年事業として看板ブランドの「図鑑NEOシリーズ」の新たな展開のイベントと考えていただき、事業への参画を決めていただきました。
「こんなことが実現できたらいいね」という夢が計画に変わった瞬間でした。
北井 小学館さんの監修が決まったので、メイン教材であった「図鑑NEOシリーズ」を軸にすると、取り扱えるテーマは一気に増えます。生き物や宇宙など、その世界観を絵で起こしてみた時に、体験として提供できそうなのが、大きな虫やリアルな生き物に出会える空間だと思いました。
九里 我われエイド・ディーシーシーは、もともとあるIP(Intellectual Property)をクリエイティブやアイデアで体験に落とし込むことが得意な会社です。だからこそ、「図鑑」を読むものから体験へと変えていくことができました。
北井 地球上には数多くの生き物がいます。それを収集できるだけでなく、パーソナルな体験に落とし込むことが、この施設の本質だと考えました。
今回は、珍しくて意外な一面がある生き物を中心に選んでいきました。もちろん面白いと感じた生き物の特性は、誰が見ても面白いと思うはずだという自信がありました。動物園で会えるような人気の動物よりも、生態や動作が面白い動物にフォーカスしました。
特に虫の動きは難しかったですね。誰も気にしたことがありませんが、蟻の足は「左の真ん中から動き出す」という、細かな生き物の特徴も再現されています。
繰り返し楽しめるコンテンツへの挑戦
九里 正直に言うと、「ZUKAN MUSEUM GINZA」は1時間だけでは、おそらくすべての生き物に出会うことはできません。何度か来館して出会い、記録してもらうことで、過去に出会えなかった生き物に出会ったり、天候が変わった時にしか出現しない生き物に出会ったりする楽しみがあります。来館するたびに「お持ち帰りできる特典」があるので、もっと集めたいという衝動が湧く仕掛けを考えています。
北井 限られた空間をフル活用するために、時間によって出現する生き物を変えることで、同じ空間をより広く感じてもらう工夫をしました。
同じ場所に同じ生き物しか存在しないと、ただ目的の場所を回って生き物を収集して終わる、面白みにかけるコンテンツになってしまいます。
九里 来るたびに出現する生き物が変わって、想定した場所にその生き物がいない?など、戸惑うような体験になったら、制作側としては非常に嬉しいです。
大人だけでももちろん楽しめる空間ですが、家族や友人同士、色んな方と一緒にご来館いただき、制限下の中でも楽しい夏の思い出をつくって欲しいと思います。
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