新・企業研究 #08

デジタルマーケティングに天動説から地動説に変わる大変化が起きている【新生・電通デジタルの挑戦】

 

日本初の統合的なデジタルマーケティング変革ができる企業へ


――すでに取り組み始めている事例としては、どのようなものがありますか。

杉浦 大手の消費財メーカー、いわゆるFMCG(Fast Moving Consumer Goods)企業の多くは、購買データを活用した広告配信や顧客分析、テレビCM接触とデジタル広告接触の重複や累積リーチをベースにした「購買リフト」を、基本的なキャンペーンのプランに組み込むようになってきています。

 より先進的な企業は、買った人/買わない人を区別して、CRM的な販促を仕掛けていく、例えば、未購入客にはサンプリングのオファーをし、過去に買ってくれた人には、Eコマースでのまとめ買いを促す、といった2周目、3周目のPDCAを回していくチャレンジも進んでいます。

 そのときに求められるのは、流通企業が保有する購買データや、共通ポイントに紐づくID-POSデータ、企業のファーストパーティーデータ、各広告プラットフォームの配信ログを、どのように結び付けて効果検証するかということ。データの利用許諾がユーザーからきちんと取れていることの確認はもちろんのこと、データやテクノロジー、各プラットフォームのAPIに対する深い理解、さらには、それぞれのプレイヤーとデータを共有してもらえるような信頼関係、パートナーシップなくしては、こういったサービスは実現しえません。

 我々は、クライアントのニーズに合わせて最も安全なデータの扱い方や、最も正しい効果検証の仕方、各プラットフォーマーのα、βバージョンのAPIを日本でテストするといったR&Dの取り組みまで、日本のマーケティングを次のステージに進化させるために、今の世の中でできる最善、最先端のサービスを提供することにこだわっています。



――最後に、電通アイソバーが合併した電通デジタルとして、改めて今後の展望をお聞かせください。

杉浦 大きな潮目の変化に直面している今、向こう3年くらいで変わりきれるかということが、電通デジタルとしてもクライアント企業としても非常に重要です。もちろん事業や顧客基盤、ブランドやプロダクトの強さに関しては、各社ポテンシャルは様々ですが、少なくとも、デジタルを活用したマーケティングの構想力と実行力、そこから「事業成果を生み出す力」の面で、激しい競争環境の中でも、頭一つ抜けられるかが死活的に大事なのです。

 我々としても、多くのクライアント企業から「事業成長パートナー」として指名いただけるよう、そのための専門性を磨き続けながら、統合的なデジタルマーケティング変革を支援できる日本初の会社を目指したいですね。

小林 そうですね。電通アイソバーのチームも含めて、テクノロジーによりマーケティングを効率化するということに留まらず、顧客体験そのものをアップデートしていくということをしっかりとご支援していきたいと思っています。それをこのスケールとスコープで実行できる会社は、今のところ私たちしかいないと思っています。
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