新・企業研究 #09

「さらなる成長を目指すための決断」アイ・エム・ジェイ経営陣が語るアクセンチュアとの合併背景

前回の記事:
デジタルマーケティングに天動説から地動説に変わる大変化が起きている【新生・電通デジタルの挑戦】
 最高の顧客体験を提供するべく、企業のデジタルマーケティング支援を主軸にサービス提供しているアイ・エム・ジェイ(以下、IMJ)は、2021年10月1日付で、グループ企業であるコンサルティング企業大手のアクセンチュアとの合併を発表した。サービス提供体制に変更はなく、IMJブランドはアクセンチュアとの合併後も存続することになった。
 
 会社設立から25年の節目の年に「アクセンチュアのIMJブランド」として新たな一歩を踏み出したIMJ。IMJのリーダー陣で、現在はアクセンチュア オペレーションズ コンサルティング本部のマネジング・ディレクター (元IMJ 取締役社長兼CEO)の大塚健史氏、マネジング・ディレクター(元IMJ 執行役員)の峰岸亮二氏、シニア・マネジャー(元IMJ 執行役員)の山本哲司氏の3名に、決断までの経緯や今後注力するプロジェクト、企業体制などについて聞いた。
   

合併はIMJ成長のために必要な決断

――会社設立25年の節目のタイミングで、今回アクセンチュアとの合併を選択された経緯を教えてください。
 
大塚 1996年にIMJを設立して以来、さまざまなお客さまのデジタルマーケティングを支援し、20年目の2016年にアクセンチュアのグループ傘下に入りました。
 
 当時は、パートナー企業と一緒にデジタルマーケティング全般を提案したほうが、お客さま企業やその顧客に対してインパクトのある成果物が残せるのではないかとの思いがあり、グループ入りを決意しました。それから5年間で、カルチャーの違う2社がお互いの強みを生かしながら切磋琢磨し、複数の共同プロジェクトを進めてきました。
   
大塚健史
アクセンチュア オペレーションズ コンサルティング本部 マネジング・ディレクター
 IMJ単体では実現できなかったデジタル以外の領域も徐々にカバーするようになり、お客様に最高の顧客体験を提供するという観点で、携わる仕事の幅が広がり、お客さまとの関わり方の深度も増したという実感があります。
 
 一方で、アクセンチュアとのコラボレーションが増えれば増えるほど、事務手続きなどの管理上の不便さが共同プロジェクト推進を阻むようになってきました。この先、我々がさらに飛躍するには、そういった弊害を取り払ってしまったほうがいいと経営陣が意思決定をしたというのが合併の理由です。
 
――さらなる飛躍のための合併という大きな決断をしたとき、IMJの社内の雰囲気や反応はいかがでしたか?
 
大塚 法人がなくなるという事実をどう受け止めるかは、当然のことながら社員によってさまざまです。誰も経験したことがないからこそ、「どうなるんだろう」という思いが生まれるのは当たり前で、ここにいる3人を含め社歴が長ければ長い社員ほど法人がなくなる寂しさはありましたね。
 
 これまでできなかった仕事に携わることで、苦しさを味わいながらも成長の実感を得られたという人がいる一方、大きな組織変化に不安を感じる人もいました。
 
山本 法人がなくなることで、いままで培ってきたIMJのアイデンティティやカルチャー、強みが減退するのでは?という根拠のない不安はありました。
   
山本哲司
アクセンチュア シニア・マネジャー
   
 そういった不安に対する心のケアを含めて、一つひとつメンバーと向き合いながら、今後より大きなビジネスへと成長させるためにどういったプロセスを踏むことが正しいのか、多角的に考え施策を重ねる中で、またメンバーも様々なプロジェクトや日々の業務を通して体感する中で少しずつ理解が得られるようなってきました。どういった戦略で進めれば大きなビジネスに成長するか、そして唯一無二の価値を提供できるか模索を続け、いまようやく実行に移すタイミングが来たのです。
 
峰岸 2016年にアクセンチュアグループ入りしたときの方が、社員から の反応が多様だったと記憶しています。
 
 ビジネスをスケールさせるためにアクセンチュアグループ入りしたのですが、巨大な組織を目の前にして自分のフィールドが広がったとポジティブに捉える人もいれば、心配になる人もいたので、一人一人に寄り添いつつコミュニケーションすることを心がけました。
峰岸亮二
アクセンチュア マネジング・ディレクター
 アクセンチュアと一緒にプロジェクトを進めてきたことで、ビジネスの広がりへの手ごたえを感じた5年間であったこと間違いなく、合併を選んだいまは多くの社員が前向きに捉えています。

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