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博報堂・Meta(旧Facebook)のクリエイターに聞く、クライアントの課題感の大きな変化と広告コミュニケーションでのダイバーシティとは?

 個々の様々な「違い」を受け入れ、認め合い、活かしていくという意味の「Diversity & Inclusion」という言葉が広く社会で使われるようになりました。Meta(旧Facebook)では、そこに公平性を意味する「Equity」を加えた「DE&I」という表現を掲げて、一人ひとりが異なる状況にあることを認識し、その上で必要な資源と機会を平等に配分することを重視しています。

博報堂とMetaはそうした考え方をクリエイティブに取り入れ、生活者とのコミュニケーションのあり方を再構築しようと動き始めています。両社の取り組みがブランドにもたらす変化とは何か、そして多様性の時代に企業が持つべき生活者視点とは何か、Meta Creative Shopの藤田啓輔氏と、博報堂ケトル ディレクターの村山佳奈女氏、博報堂 PRディレクターの肥塚縫伊子氏の3人にお話を伺いました。
 

多様な生活者の意識との乖離を縮めるために

――今回、両社がDE&I視点でのクリエイティブ開発の検討を始めた背景をお聞かせください。

藤田 Instagramをはじめとする様々なサービスを提供しているMetaですが、すべてのサービスに共通するミッションは「コミュニティづくりを応援し、人と人がより身近になる世界を実現する」です。世界中の人が集まるプラットフォームですので、利用者の体験のためにも、DE&Iの視点はミッションを達成するために欠かせない要素だと考えています。

社内でも世界中から集まる社員の多様な経験や考え、地理的条件、年齢、背景、性別、性的指向、言語、文化などを尊重しながら活かすためのリソースやツールを取り揃えるなど、より良いプラットフォームづくりにつなげるために、DE&Iに真摯に取り組んでいます。
           
藤田啓輔
Meta/Creative Strategist, Creative Shop

オランダのデザインアカデミー・アイントホーフェンを卒業後、欧州でデザイナーとしてキャリアを積む。Wieden+Kennedyのアートディレクターを経て、MetaのグローバルクリエイティブコミュニティであるCreative Shopに所属。


村山 私たちは、広告会社のクリエイターとしてアウトプットの多様性が担保されるべきという考え方を持っていますが、それをどのように広げていくか、つくっていくかというところはもっと検討を重ねていかなければいけないと思っています。

そこでInstagramを中心に世界的な事例や潮流をシェアしていただくと同時に、クリエイティブをつくるときに何を心がけるべきか、気をつければよいのかなどをぜひ伺いたいということで、今回Metaと取り組みをスタートしました。
          
村山佳奈女
博報堂ケトル ディレクター

東京都生まれ。大学卒業後、ニート、カルチャー誌編集者、外資系広告代理店コピーライターを経て2015年に博報堂入社。現在、博報堂ケトル所属。フェミニズムの思想をベースにしたPR/クリエイティブ業務を日々推進している。受賞歴に、日経ウーマンエンパワーメント広告賞、PRアワードグランプリなど

肥塚 私が携わっているグローバルブランドの領域でいうと、クライアントの課題意識の変化が大きいと思っています。どうしたら生活者に共感してもらえるのか、自社でいま発信している情報と生活者の意識に乖離があるのではないか、といった課題を感じ始めているクライアントが増えていて、そのあたりの意識が明確にオリエンの中にも入ってきていると感じています。そういう背景があって、ここはきちんと考えていかなくてはいけない領域だと思っています。
         
肥塚縫伊子
博報堂 PRディレクター

海外生活を経て、2013年博報堂入社。現在PR局所属。入社以来PR職として広報領域の業務に従事。商品マーケティングから企業広報、グローバルPR、パブリックアフェアーズなど幅広い領域のPR業務を担当。PRアワードゴールド、日経ウーマンエンパワーメント広告賞などを受賞。

藤田 組織の話でいうとMetaにはいろいろなサービスがあるのですが、共通しているのが「人」です。「人」が主役となるプラットフォームという部分で、やっぱりDE&Iの取り組みは直結しているんですよね。

社内ラーニングの機会は多いのですが、それを社内だけではなく、社外にも実践していくことで社会全体にも影響が出るのではないかと思っています。その点で今回の取り組みは私たちにとってもものすごく大きな機会です。
 

ブランドとして社会課題にどう向き合っているかが見られる時代に

――さきほどの話の中で、企業側の意識が変化しているという話がありました。具体的にどのような変化が起きていますか?

肥塚 私が担当しているグローバル企業は、チームの男女比や年代などの多様性が担保されていることがプロジェクト始動の条件として課されることがあります。それぐらいブランド側の意識が変わってきているので、広告会社はそこに追いつくだけではなく、一緒に主体的に進めていけるかどうかが課題だと思います。

藤田 国ごとに課題や問題はそれぞれ違って、ある面では先進的であってもある面では遅れているようなケースがあるので、各ブランドがクリエイティブエージェンシーと一緒にそれぞれの社会が抱える課題や問題を解決するような流れは常に進化していると思います。

プラットフォーム的な話で言うと、フォーマットが多様になる事で、そこで生み出せるコミュニケーションの質が増え続けています。それが多様になってくるとオーディエンスとの交流の質もどんどん変わっていくので、そういう意味でこの流れは加速していると感じています。

肥塚 最近、クライアント側は売るだけではないコミュニケーションをしていかなくてはいけないという意識を持ち始めていると思います。

藤田 パーパスドリブンですよね。少し流行り言葉になっていますが、その流れは明らかにありますよね。

村山 世界的に見るとZ世代の人口が増えていて、彼らの意識や購買行動は無視できません。若い世代ほど企業からの売るコミュニケーションはスルーして、その企業が何をしたいのか、どういう貢献をしているのかをきちんと調べているんです。

社会課題やネガティブな話にどのように向き合い、関わっているのかがブランドとして「Brave(勇敢)」でかっこいいと捉えられるようになっています。日本はまだまだこれからだと思いますが、今まさにそういうアプローチが増えてきている段階なので、広告をつくる側の意識も変わっていくと感じています。

藤田 さらに言えば、これまではマスメディアが一方的なベクトルでメッセージを伝えていましたが、いまではInstagram上のキャンペーンなどでブランドとオーディエンスがいかに会話して関係性を深めていくかに変わってきているんです。

生活者との距離やコミュニケーションの矢印の向きも違うので、そこを意識したキャンペーンはビジネス的にも強くなりますし、ブランドの立ち位置的なものを強固にしてキャラができていくように思います。そういうことがマーケティングの一環として自然にできてきている気がしますね。

村山 InstagramのUIがまさにそうですけど、友だちの投稿と企業情報の面積が同じなんですよね。友だちと企業を同じように見るプラットフォームなので、企業が生活者側に降りて目線を合わせることができていると思います。

未来は完全にそちら側だと思うと、私たち広告会社はプラットフォームの皆さんから学び、生活者からも学びと、現在進行系で変化していく必要を感じています。

肥塚 生活者もプラットフォームごとに違う人格を持っていて、例えばInstagramではコスメや食の情報が好きだけど、Twitterでは推し活や面白ネタ情報を集めている…などといった側面があると思うので、一人ひとりの多様性にどうインクルージョンしてくかも大事ですよね。

ライフステージが変われば人も変わるので、その辺をどう見つめられるか、生活者を”ターゲット”ではなくひとりの人として見つめる感覚が大事になってくると思います。

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