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テクノロジー

オープンエイト 髙松雄康氏に聞く、AIによる自動動画制作ツール「VIDEO BRAIN」の効果

動画メディア事業で培ってきたAI技術

 動画メディア「LeTRONC(ルトロン)」や動画広告サービスを手がけるオープンエイトは3日、AI(人工知能)による自動動画制作ツール「VIDEO BRAIN(ビデオブレイン)」の提供開始を発表した。

 また、本サービスの開発と推進を目的に、ベンチャーキャピタルのWiLとスパークス・グループが運営する未来創生ファンドから約15億円の第三者割当増資を実施するほか、動画事業推進アドバイザーとして日本コカ・コーラ バイスプレジデントや日本マイクロソフト 業務執行役員、MERY 副社長などを歴任してきた江端浩人氏が就任するとした。


 
 同社では、動画メディア「LeTRONC(ルトロン)」事業において、ユーザーの視聴履歴をAIで分析し、それぞれの嗜好にあった動画コンテンツを自動育成する施策を展開してきた。 今回は、そうしたAIによるテキストマイニングや画像解析、自動編集などの技術を活用することで、他メディアや企業が簡単に動画を制作できるようサービスを開始する。先行して花王、コメ兵、ヌーヴ・エイに導入されている。
 

AIによる動画制作が、企業の課題解決に直結する

 オープンエイト 代表取締役社長兼CEOの髙松雄康氏に 、「VIDEO BRAIN(ビデオブレイン)」をスタートさせた背景や強みについて聞いた。
 

 −AIによる自動動画制作ツールに着目した背景は?


 当社が手がけるお出かけ動画メディア「ルトロン」のように、動画はスマートフォンやWebでリアルを体験できる世界をつくり出すことができる可能性を秘めています。しかしながら、リッチコンテンツの制作は奥深く、企画や編集など、あらゆる面でより良いものをユーザーに提供していくためには、当然、お金や時間、手間暇をかけることになります。

 実際、ルトロンも3カ月前には編集会議で企画が決定し、その後にロケハンして撮影に行き、編集はAdobe PremiereやAfter Effectsなどプロ向けツールを使い、時間をかけてつくり込んでるわけです。

 しかしながら、これから5G(第5世代移動通信システム)が普及し、動画市場の裾野を広げることが業界発展になるという視点に立てば、果たしてそれだけでいいのだろうか、自ら世界を狭めてないかと改めて考えるようになり、様々な動画活用のイメージが生まれました。

 ある企業広報の方と話したとき、例えば、CSRにおいて多くの写真や動画素材があるため、毎回それを社内外とコミュニケーションしてまとめるのにとても時間がかかっており、それをローコストで動画化できないか、という相談を受けました。また、別の企業からは、チェーンストアオペレーションのマニュアル動画を社内で制作しているが、工数がかかるのと専門知識がないため、運用できないという声をもらいました。

 すでに私たちは、昨年末に「ルトロン」の動画と関連情報をメタデータとして活用し、AIが自動分析してランキング動画やリコメンド動画のパーソナル配信を実現していました。これらのAI技術を使って、メディアや広告だけでない動画活用の機会をローコストかつ自動的に生み出すことで、相談を受けた企業の課題解決に直結すると感じたわけです。

 動画を制作して社内外のコミュニケーションに活用してみたいが、お金をかけられない店舗やEC、HRも含めて、あらゆる規模の企業に提供していきたいと考えています。
 

 −AIで制作した動画は、人が制作した動画と比べても遜色のない成果を生む?


 誤解を生みやすいのが、AIが何でも実現してくれるというイメージです。まず、どのような動画をつくりたいのかなど、素材や説明を含め、企画や内容においては人の役割が大きいです。もちろん演出にこだわるであれば、撮影も人がきちんと行う必要があります。

 AIが得意なのは、膨大な量のデータから、さまざまなパターンを導きだすことです。そのため、いきなり完璧な提案ができるわけではなく、使い込んでいく中で、編集スキルがない人でも数分あれば動画を制作でき、活用できる環境ができてくるのです。

 もちろん当社が、すでに分析済みの動画であれば、よりイメージに近いものを仕上げることができます。それは、「ルトロン」や広告サービスで得た知見が大きいとお考えください。また、閲覧数の効果については、配信される先や使い方によって様々な指標が存在するため、今回のツールには含まれていません。「VIDEO BRAIN」は、AIの部分を除けば、編集ソフトとしてほとんどの機能を備えています。あくまでもツールであるため、後は活用する際の用途次第かと思います。
 

 −目標の導入社数は?


 3年で、1000社の導入を目指しています。


−江端氏にアドバイザー就任を依頼した経緯は?


 デジタルの世界に詳しくメディアやマーケティングの知見を深くお持ちで実際、事業立ち上げで何度も成功されています。そして、「VIDEO BRAIN」を説明したとき、すぐに活用イメージを共有でき、海外展開含めてこのサービスの可能性を大きく感じてもらえたことがきっかけです。国内は当然ながら、海外展開を見据えた中で、江端さんが適任だと思いました。
 

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