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デジタルマーケティングで市場拡大を目指す #03

「オーディエンス拡張は嫌い!」情報が入手しやすくなったからこそ考えたいターゲティング【ユーキャン 鳥羽 渉】

デモグラターゲティングからの脱却

 当社の事例になりますが、デモグラでのターゲティングで効率が低下している時に、生活者を対象とした「学び」に関する潜在的な需要調査を実施しました。

 その結果、「学び」への潜在的なニーズは大多数の人が持っており(もちろん自分にもあります)、機会があれば取り組みたいと考えている人は多い一方で、人にはそれぞれ時間的、地理的、コスト的な障壁があり、なかなか踏み出せないという状況があることが分かりました。

 ただ、当社商品である通信教育は向き不向きはあるにせよ、それらの障壁に対応できるソリューションであり、学びを志向する多くの方にマッチするサービスのはずです。

 それでも日本中の皆さんが当社の商品を選択してくれている訳ではありません。当たり前ですが、そこには競合他社や他の学習法との比較以前に何らかの問題があるのではないか、と考えました。

 その疑問が、デモグラなどによるターゲティングから脱却した考え方の起点になりました。

 先ほど述べたように、人は根本的にアドラー心理学でいうところの「優越性の追求」、人は無力な存在としてこの世に生を受け、その無力な状態から脱したいと願う普遍的欲求を持っていると思われます。
 
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 これは先ほどの「学び」に関する調査でも明らかです。20代から60代までの調査対象者のうち約8割もの方が「学びに関心」を持っている、という結果を得られました。20歳以上の人口は約1億人ですから、極端に言えば、当社の場合、約8000万人の潜在顧客がいる計算になります。

 でも、もちろん8000万も通信教育の講座が売れているわけはなく、受講生はそのごくごく一部にしか過ぎません。それは、なぜでしょうか?
 

重要なのは、トライブという考え方

 先に述べた状況から、学びにはかなり大きな潜在需要がありつつも、それが顕在化し実際の学習行動を起こしている方は、ごく一部であることが分かりました。

 そこで、学習に関するアンケートを精査し浮かび上がってきたのが、ニーズの顕在化を阻む何らかの「阻害要因」の存在と、一方で学びに対して積極的になり得る「促進要因」の存在です。

 学びに対する志向はありつつも「つい後回し」にしたり「情報を集めすぎて決断できなかった」りする「阻害要因」。
 
 一方で、「将来を見据えて…」「繰り返しの毎日から抜け出したい」などの学びに対する「促進要因」。

 これらは一人格の中に単独で存在している訳ではなく、いつくかの阻害と促進の要因が混在しており、シーズナリティや周辺環境により強く発露している状態がある、と推測しました。

 その顕在化した要因ごとにグルーピングしたもの、それが性年代を超えたトライブ(属性)というターゲットになりました。

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