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CARMAが語るPR効果測定の最新潮流「露出量から事業への貢献へ」

 PRおよびメディアインテリジェンス事業をグローバルで展開するCARMA(カーマ)が3月26日、東京に新オフィスを開設し、日本市場への本格参入を果たした。同社アジア地域の責任者を務めるマネージングディレクターのアンドリュー・ニコルズ氏へのインタビューを通じて、グローバルで進化するPR効果測定の最新動向と、日本企業が今後取るべき戦略について話を聞いた。 
 

グローバルで進化するPR効果測定の指標


―― 世界のPR効果測定はどのように進化しており、その背景には何があるのでしょうか?

 PRやコミュニケーションの効果測定は、従来の「アウトプット(露出量や記事数など)」から、「アウトカム(事業目標への貢献、態度変容、行動喚起など)」を重視する方向へと、世界的に明確なシフトが起きています。これは単なる指標の変化ではなく、企業がどれほど実質的な影響を与えられたかを見極めるための、質的な変化です。

 この背景には、デジタル環境の急速な進展があります。誰もがSNSなどを通じて発信できる今、消費者は企業の行動をより注視するようになり、レピュテーション(評判)管理の重要性がかつてないほど高まっています。同時に、企業が直面するリスク環境も複雑化しています。

 さらに最近では、グローバル戦略一辺倒から、地域の文脈に即した「リージョナライゼーション」への動きが見られます。企業は、事業を展開する地域の文化やメディア環境に応じて、柔軟にコミュニケーション戦略を調整する必要があります。
 
CARMA ASIA マネージングディレクター
アンドリュー・ニコルズ氏
 

世界のブランド企業はインサイト主導で意思決定


―― そのような状況の中で、世界の先進企業はPR効果測定をどのように活用しているのでしょうか。

 先進的なブランド企業は、PRの効果測定を単なる「振り返り」ではなく、戦略的な意思決定の基盤として活用しています。特に重要なのは、初期のプランニング段階からインサイトを取り入れることです。

 当社CARMAでは、クライアントごとの目的を深く理解した上で、メディア分析、ソーシャルリスニング、オーディエンスインサイトという3つの主要データセットを組み合わせ、最適な戦略と測定フレームを構築しています。

 加えて、過去のパフォーマンスや競合他社との比較(ベンチマーキング)も重要です。効果測定はキャンペーン終了後だけでなく、プロセス全体において継続的に実施し、リアルタイムに軌道修正を行うことが求められます。実際には、自社と競合、市場全体の評判やポジショニングを可視化する戦略マップの作成、危機管理(クライシス)やリーダーシップコミュニケーション、スポンサーシップの効果検証など、活用の幅は非常に広がっています。
 

日本のPR・マーケティング業界の特徴と今後の進化への期待


―― 日本市場については、どのように評価されており、どのような可能性を感じていますか?

 日本のPR市場は非常に健全かつ成長していると感じています。日本パブリックリレーションズ協会(PRSJ)の調査でもその傾向が示されており、市場全体に活気があります。

 特に、新聞やテレビといった従来型メディアの影響力が依然として強い点は、他国と比べてもユニークな特徴です。一方で、デジタルプラットフォームへの移行も着実に進んでおり、このメディアミックスのバランスは今後の戦略設計において非常に重要です。

 また、多くの日本企業が自動車やエレクトロニクス産業を中心に海外展開を進める中で、海外市場における自社の評判や、競合となる中国・韓国企業の動向を把握したいというニーズが高まっています。我々CARMAが持つグローバルネットワークと高度なインサイト提供力は、そうしたニーズに応えることができ、日本企業の国際競争力強化に貢献できると考えています。

 最後にお伝えしたいのは、『Made in Japan』が象徴する品質の高さは世界的にも評価されているということです。今後は、単にどれだけ露出したか(アウトプット)だけでなく、そのコミュニケーションがどのように行動や態度に影響したか(アウトカム)という視点での測定が、日本のPR・マーケティング業界にとって一層重要になっていくでしょう。

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