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サントリーが進めるデジタル人材育成講座 #01

サントリー若手社員が支店トップレベルの売上、成果につなげたデジタル人材研修とは

デジタル人材育成の目的とは何か

 そこで必要になるのが、デジタル人材育成の目的だ。私は、こう定義している。
人材育成 = 個人の成長 + 組織成果の拡大
 当然、ビジネスにおいて「スキル」を磨けば、個人の成長につながるし、特にデジタルの世界では「成功の法則」を知らずに、見よう見真似で業務をしていては、組織成果につながりにくい(この理由は、第2回以降で詳述する)。

 そして、「組織成果の拡大」は下記のように定義している
組織成果の拡大 = 仕事の質 × アウトプット量
 「仕事の質」は、メンバー個々のスキルが上がる、すなわちプロフェッショナルになれば、より高度なデジタルソリューションが社内に提供できる。さらに、スキルが上がれば、仕事のスピードが速くなり、業務効率化が進んで「アウトプット量」が増える。

 そして業務を圧縮してできた時間で、さらにイノベーティブな課題に取組むというスパイラルアップを目指している。

 2012年には、20人近くいたデジタル部門(当時は宣伝部と協働し、広告効率の改革をメインテーマにしていた)は、サントリーの事業会社分割により、私は5人のメンバーとともに、営業会社へ。そこでECを中心に成果を出し、再び2017年にはサントリーグループのデジタル部門が統合され、一気に40人近い陣容となった。

 その約3分の1は、デジタル初心者が配属されたこともあり、半年間はデジタル部門の底上げをするため、私の工数の3割を研修に充てていた月もあるほどだが、メンバーがそれについてきてくれたのは、前述のように人材育成の目的を経営層にもメンバーにも明確に示していたからではないかと思う。
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 この思想は、他部門のデジタルマーケティングに携わる担当者の育成にも及んでおり、中にはリアル営業しか経験していなかったデジタル初心者が、担当EC企業で前年比300%を超える売上実績を出し、担当企業を支店のトップレベルの売上に押し上げた人材もいる。

 支店では奇跡のように思われているが(もちろんその若手営業担当者の努力の賜物なのだが)、そういった成功例が生まれるのも、人材育成のやり方ひとつだと、実感した。

 なぜそういったことが起きるのかは、これからの連載で徐々に明らかにしていく。
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