デジマ女子部 スキルアップしたい女子デジタルマーケター大集合! #01

ユーザーの心をつかむUXとは?マーケター向けWebサービス改善の道すじ【デジマ女子部 レポート】

 デジタルマーケティングに携わる女性マーケターの勉強と交流の場「デジマ女子部」。2カ月に1回、顧問を務めるマーケターの西井敏恭氏(シンクロ 代表取締役、オイシックス・ラ・大地 執行役員)が、ゲストと対談するセミナーを開催している。今回は、Webサイト分析サービスを手がけるPLAN-Bの西岡彩織氏をゲストに迎えて、同社サービス「Juicer」を事例にUX(ユーザーエクスペリエンス)の改善について考えた。
 

UXは、製品やサービスにまつわる体験のすべて



  今回のテーマは、「UI(ユーザーインターフェイス)・UX(ユーザーエクスペリエンス)」。ゲストであるPLAN-Bの西岡彩織氏は、2015年にリリースされたWebサービス「Juicer」に立ち上げから参画し、プロダクトデザインのディレクションやカスタマーサポートを担当している。

 「Juicer」は、Webサイトに解析用のトラッキングコードを組み込み、そこから収集されるデータと保有データを掛け合わせることで、ペルソナの自動作成や見込み顧客のスコアリングなどを行うサービス。基本的に無料で、オプション機能が有料となるフリーミアムのビジネスモデルであることから、西岡氏は「サービスを楽しく使い続けてもらうことがビジネスチャンス。そういった意味で、ユーザーエクスペリエンス(UX)を重要視している」と述べた。



 そもそもUXは、製品やサービスの利用を通して得られる体験を指す。つまり、製品の広告を偶然見かけて起用されていた女優を綺麗だと思ったという体験から、比較検討の際に友人に勧められたという体験も同じUXだと説明。

 「UXはあくまでも消費者を主語とした場合の体験を指すため、企業が意図したものだけでなく、偶発的なものも含まれる。実は、一般的に考えられているよりも広い概念」と語った。
 


西岡彩織
2015年 PLAN-Bに入社し、「Juicer」の立ち上げに参画。「Juicer」のUX領域を主に担当しながら、新規機能の開発・マーケティング・顧客対応などにも従事。
 

UXマップで課題を抽出

 西岡氏が、UX改善のために最低限必要だと語るフローは3つ。どのようなUXを提供したいかを定義し、次に今あるUXの課題を抽出する。そして、その課題を解決するためのアイデアを複数出して、検証するという流れだ。

 UXを定義する際は、誰を対象に、何に強みを持っていてどのような価値を提供できるのか、それは競合他社にない価値かといった目線が大切になる。そこで、西岡氏は競合他社にない顧客が求めている価値を明確化する「バリュー・プロポジション」、自社・競合・顧客の3つを機能的な部分と情緒的な部分に分けて整理する「電通ハニカムモデル」などのマーケティングのフレームワークが有用と紹介。また、すでに製品価値が整理され、それをチーム内で簡易的に再確認したいだけであれば、3C分析も役立つと話した。

 ユーザーに提供したいUXの定義後に、すでに提供しているUXがそれに沿ったものかを確認し、課題を抽出する。

 西岡氏は「Juicer」の利用者を増やしていくために、ユーザーが何の経路から認知し、比較検討して利用登録し、サイトを使って、2回目以降のログインにつながっていく流れを時系列で書き出した「UXマップ」を作成。



 そのマップには、実際の分析に基づいた遷移率や離脱率などの数値を実際の箇所に書き込み、合わせて実際にユーザーのアンケート調査で得られた言葉や問い合わせの内容から、ユーザーの感情も書き加えた。そして、そのマップを分析しながら、提供したいUXと、現在提供しているUXに、どのようなズレがあるのかを確認している。

 その作業から、西岡氏は「Juicer」を継続して使い始めたばかりのタイミングにネガティブな感情が集中していることに着目。その背景には、分析内容が毎日大きく変わらないことや、使用方法に自信を持てていないこと、データを見ても具体的なアクションにつなげられていないという理由があると考え、本来提供したいUXである「分かる、できる、続けられる」からズレていると仮説を立てた。
 

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